(前編「ゴミを漁るホームレス息子から目をそらした父、そのフォローが遅すぎる!」)
【ついついママ目線】『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』後編
母親との交流を絶った出来事とは?
薬物依存症でホームレスのストリートミュージシャンの青年ジェームズが、一匹の猫との出会いによって人生が変わったという、実話をもとにした『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』。
・野良猫との奇蹟の出会いが映画に! どん底から再起した原作者を直撃
ジェームズは迷い込んできたボブと出会い、なけなしの有り金をボブのケガの治療費に使ってやり、ひもじいときも同じように空腹のボブに目をかける。生きている意味を見失いかけていたジェームズだったが、ボブとの出会いで徐々に変わっていく。苦楽を共にするボブはジェームズの心の支えとなり、守るべき存在ができたおかげで彼は強くなれたのだ。
実際に、ボブがいることによって人々に注目されたジェームズはストリートミュージシャンとして人気を得て、マスコミの目にとまって彼が手がけることとなった本作の原作はベストセラーになった。でも、ジェームズの人生を満たされたものにしたのは、富や名声ではなく、パートナーであり、息子のようでもあり、かけがえのない家族、ボブの存在だ。ジェームズ本人もそれを心得ているようで、本の売り上げのほとんどを慈善団体に寄付したそうで、今はチャリティ活動に力を入れているのだとか。
ちなみに劇中で猫のボブを演じているのは、なんとボブ自身! ほとんどのシーンを演じ、「こんなに人懐こくて愛嬌のある猫なら、この奇跡的な実話もあり得る!」と思わせて作品に説得力を持たせている。タレント猫も顔負けの、カメラの前での堂々とした佇まいはこれこそまさに奇跡と言えよう。
この物語は、親はなくとも子は育つという見本。親はなくとも周囲に目を向けて、人間に限らず周りの者と信頼し合えば、人生なんとかなるものだ。
この話にはさらにおまけ話がある。悪いほうのおまけだ。
子どもがどんな人間に育つかは生み出した親の責任があると思うが、どんな親のもとに生まれるかは当然ながら子どもに責任はなく、親を選べるものじゃない。親たるものはその事実を今一度、心にとめるべきだろう。そして、すべての子ども、つまり誰もがみんな、肉親以外でも人間以外でもジェームズのように出会いを大切にして前向きに生きていけるといいと思う。(文:入江奈々/ライター)
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』は8月26日より全国公開される。
入江奈々(いりえ・なな)
兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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