才能の塊! インディの相棒役女優フィービー・ウォーラー=ブリッジはあの人気作の共同脚本も!
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』で頼もしい相棒を好演
【この俳優に注目】ハリソン・フォードが40年以上の長きに渡って主演を務めた人気アドベンチャー・シリーズ第5作にして最終作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。80歳を迎えてなおアクションにも果敢に挑むフォードに圧倒されるが、本作で主人公インディの頼もしい相棒となるのは旧友の娘であるヘレナ・ショーだ。
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古代言語や歴史の知識も豊富なヘレナは名付け親であるインディと共に、亡き父が研究していた “運命のダイヤル”の行方を追うことになる。頭が切れて行動力があり、目的のためならインディを出し抜くこともいとわないヒロインを演じるフィービー・ウォーラー=ブリッジも、才気あふれる注目の存在だ。
俳優としてもだが、脚本と主演を務めたTVドラマ『Fleabag フリーバッグ』(16年~19年)で英国アカデミー賞、プライムタイム・エミー賞、ゴールデングローブ賞などを受賞し、その後に手がけたTVドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』(18年~22年)も大人気作となった。さらに『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(20年)の共同脚本も担当している。
イギリスの良家出身、“だらしない女”を演じたドラマで注目の的に
ウォーラー=ブリッジは1985年、イギリスのロンドンに生まれた。サセックス州の大地主の家系で、母方の祖父は男爵という良家の出身だ。幼い頃から俳優を志した彼女は王立演劇学校で学び、卒業後の2007年に舞台演出家のヴィッキー・ジョーンズと劇団「DryWrite」を設立し、舞台からキャリアをスタートさせた。
出世作である『Fleabag フリーバッグ』は、2013年にエディンバラ国際フェスバルの一環であるエディンバラ・フェスティバル・フリンジで初演された同名の一人芝居をドラマ化したもので、現代のロンドンに暮らす30代の女性の日常をリアルにとらえた描写が絶賛された。そのリアルとは、誰しもが心の中に持つ黒い部分を赤裸々に描くこと。そして回を追うごとに徐々に彼女の事情が浮かび上がってくる。製作総指揮と脚本を務め、皮肉屋で身勝手で性に奔放なフリーバッグ(だらしない女性)を自ら演じたウォーラー=ブリッジは、クリエイターおよび俳優として注目の的となった。
『Fleabag フリーバッグ』の成功を受けて、次に取り組んだのはサンドラ・オーとジョディ・カマーが主演するドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』だ。イギリスの諜報機関エージェントと美貌で冷血の暗殺者・ヴィラネルの攻防を描くサイコ・サスペンスに乾いたユーモアを効かせた怪作で、ウォーラー=ブリッジはシーズン1の脚本とショーランナーを兼任し、同作はシリーズを通してエミー賞で数多くの部門で候補となった。
ダニエル・クレイグもフィービー作品の大ファン!
続いて、ダニエル・クレイグの猛プッシュもあって、『007』シリーズで彼がジェームズ・ボンドを演じた最後の1作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の共同脚本を務め、シリーズ史上2人目の女性脚本家となった。クレイグは彼女の手がけたドラマの大ファンだったそうだ。
着実に活躍の場を大きく広げているが、「New York Times」紙のインタビューで、彼女はボンドやインディの危険で攻撃的、かつ煽動的な面は彼女自身に備わっている要素であり、フリーバッグやヴィラネルに共通するものだと語り、新しいことへの挑戦が大好きな性格が、より大きな作品への挑戦につながっていったとしている。
それは俳優としての活動にも言えること。『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』ではハリソン・フォード演じるインディに勝るとも劣らないアクション・シーンの数々もこなしているが、脚本を読んだ時点で「人生の経験として、この機会は断ることはできないもの」と感じたそうだ。ちなみに彼女は『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にも出演したが、実は『スター・ウォーズ』シリーズを一度も見たことがないままオーディションを受けていたという。
プライベートではマーティン・マクドナー監督と交際中
私生活では、『スリー・ビルボード』(17年)や『イニシェリン島の精霊』(22年)で知られる監督・脚本家のマーティン・マクドナーと2018年から交際している。
2019年にAmazon Studioと包括契約を更新した彼女は、アンジェリーナ・ジョリーやアリシア・ヴィキャンデルが映画で主演してきた『トゥームレイダー』のドラマシリーズの脚本を務めることが決定している。何事にも果敢に挑み、しっかりと自らの糧にして更なるステップアップを実現させているウォーラー=ブリッジは、これからどこまで進んでいくのか。無限大の可能性を感じさせるその活躍を楽しみに見続けていきたい。(文:冨永由紀/映画ライター)
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は公開中。
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