・「その1:ブラムハウス・プロダクションズ/【興行トレンド】ホラー映画の大ヒットで脚光を浴びる2大プロダクション」
【興行トレンド】
ホラー映画の大ヒットで脚光を浴びる2大プロダクション
その2:ニューラインシネマ
ホラー映画の大ヒットで脚光を浴びる2大プロダクションを2回に分けて紹介する、2回目はニューラインシネマです。
今年、『アナベル 死霊人形の誕生』(1億200万ドル)、『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』(3億500万ドル、10月8日時点)が大ヒット。特に『IT』は『エクソシスト』を上回りホラー映画歴代興収新記録を樹立した。
ニューラインシネマは『ロード・オブ・ザ・リング』『オースティン・パワーズ』『ラッシュアワー』シリーズで知られ、08年にワーナー・ブラザースの傘下入り。以降はワーナーのいちレーベルとして、独立して映画の企画開発にあたってきた。実は同社の得意技がホラー映画。『エルム街の悪夢』『ファイナル・デスティネーション』シリーズで一世を風靡。『ファイナル〜』の4、5作目はワーナーの傘下入り後に作られた。近年の「ニューライン・ホラー」のヒットシリーズが『死霊館』だ。
実在する超常現象研究家のウォーレン夫妻を題材にした本作。『ソウ』『インシディアス』シリーズとホラー映画を得意とするジェームズ・ワンが13年に監督してヒット。以降、同作に登場した呪いの人形アナベルを主人公に据えたスピンオフ映画『アナベル 死霊館の人形』を14年(日本公開は15年)、シリーズ2作目『死霊館 エンフィールド事件』を16年、スピンオフ映画『アナベル』のプリクエル(前日談)となる『アナベル 死霊人形の誕生』を今年公開した(日本では10月13日公開)。
『死霊館』シリーズのプロデューサー、ピーター・サフランは「ニューラインは昔からホラー映画を作ることに力を注いできた。彼らが『死霊館』(の権利)を買って、(私が製作に加わり)僕らがジェームズ(・ワン)を連れてきた。このチームで、ただのシリーズ映画ではなく、ユニバースとなる可能性のあるものを作り出す意図とビジョンがあった。ただし、僕らは焦って作ったりはしない。『死霊館』の1作目と2作目の間には3年あった。何か特別なものをやれると思わなければ、映画を作ることはしないと信じている」。『死霊館』のメインシリーズはじっくり作る一方、スピンオフ映画を積極的に作ることで「『死霊館』ユニバース」を広げてきた。
18年には『エンフィールド事件』に登場した邪悪な修道女を主人公に据えたスピンオフ映画『ザ・ナン』(原題)が控え、メインシリーズの3作目やさらなるスピンオフ映画も企画開発中といわれる。19年には『IT』の続編公開も発表された。「ホラー映画のニューライン」の活躍はさらに続きそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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