映画『火花』の完成披露試写会が11月8日に東京国際フォーラムで行われ、W主演をつとめる菅田将暉と桐谷健太、木村文乃、川谷修士(2丁拳銃)、三浦誠己、板尾創路監督が登壇した。菅田は、劇中でコンビを組んだ川谷や板尾監督から俳優としての素晴らしさを絶賛されると「芸人の役は難しいなんてもんじゃないけれど、板尾監督のOKを信じて演じました」と清々しい表情で語った。
本作は、お笑いコンビ、ピース又吉直樹による第153回芥川賞受賞作品を映画化。泣かず飛ばずだった若手芸人の徳永(菅田)が、営業先の熱海で出会った型破りな漫才を披露する先輩芸人・神谷(桐谷)に影響を受け、弟子入りすることから大きく変わっていく芸人人生を、涙と笑いで描いた青春物語だ。
劇中、菅田は川谷とともに臨場感たっぷりの漫才を披露しているが、芸暦20年以上のキャリアを持つ川谷は「菅田くんの立ち方を含めた芸人としての立ち振る舞いがすごくて、ホンマのコンビみたいに思っていました。元のコンビに戻りたくない」と最大級の賛辞を送ると、菅田も「修士さんが突っ込んでくれれば、絶対に笑いが起こると信じて演じていました」と川谷に絶大な信頼を置いていたことを明かす。
さらに菅田は「クライマックスの漫才のシーンで見せる修士さんの、感情があるのかないのかわらからない切なさと本気の顔は忘れられない。長年漫才をやってきたからこその人の顔でした。墓場まで持っていきたい」と印象に残ったシーンを挙げる。
板尾監督が言うとおり、かなりの年の差があるにも関わらず、菅田は川谷に対して終始敬語を使わず、いわゆる“タメ口”で接していたという。菅田は「修士さんから『敬語やめよう』と言っていただいた後、6時間ぐらい一緒に飲んだんです。そこで修士さんに対して、なんて愛おしい人なんだと感じ、そこからは敬語をやめたんです」と役作りへのアプローチ方法を語っていた。
こうして完成した作品は、原作の認知度もあり、非常に注目度が高いが、板尾監督は「プレッシャーというより、又吉には気を使いました」と語ると、「年も全然違うし、本人が(映画化を)嫌がっても『嫌です』とは言えないと思うんです。だからなるべくそう思わせないように気を使ったんです」と理由を説明。さらに「純文学を描くのは難しいなと思いましたが、自分がいる世界の話だったので、漫才を経験したことのない人に撮らせたくないなという気持ちが強かったんです」と熱い思いを語っていた。
『火花』は11月23日より全国公開となる。
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