『トイ・ストーリー』ジョン・ラセターもセクハラ行為! ハリウッド・セクハラ騒動は拡大の一途

ピクサーCOOのジョン・ラセターもセクハラ行為で謝罪
ピクサーCOOのジョン・ラセターもセクハラ行為で謝罪

10月に明るみに出たハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ騒動。グウィネス・パルトロウなどオスカー女優たちまでもが被害者として名乗りを上げ、その後も映画監督、俳優、プロデューサーなどがハラスメント加害者として告発された。ワインスタインが関わる映画やドラマの企画は製作中止になり、ワインスタインとロバート・デ・ニーロ主演のドラマをプロデュースしていたAmazon Studiosトップのロイ・プライスもセクハラを告発されて辞任、ドラマは製作中止になった。12月になろうとする今も業界の大物たちへの告発は続き、業界を震撼させている。

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●ケヴィン・スペイシーは人気ドラマをクビに

ワインスタインに並ぶ大打撃を業界に与えたのはケヴィン・スペイシーだ。アカデミー賞を2度受賞(『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティー』)し、大人気のNetflixの政治ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」で主演を務めるスペイシーは、先月29日(現地時間)に子役出身の俳優のアンソニー・ラップへの謝罪をツイッターに投稿した。

同日現在46歳で舞台を中心に活躍するラップは、14歳だった1986年にスペイシーと知り合い、彼のアパートで性的アプローチを受けたとBuzzFeedのインタビューで明かしたのだ。

スペイシーは「32年以上も前のことで、本当に覚えていません」としながらも、「泥酔状態での不適切な行動」について謝罪した。未成年への不適切な行為を「していない」と断言しないのは、身に覚えがないと言っているも同然。案の定、その後に何人もの男性がスペイシーによるセクハラ、性的暴行の被害を訴えた。これを受けて、Netflixは現在製作中の「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のシーズン6からスペイシーをクビにすることを決定。主役であるフランク・アンダーウッド大統領抜きでの脚本執筆が急ピッチで進められている。スペイシーは、12月に全米公開のリドリー・スコット監督の『All the Money in the World(原題)』にも出演していて、アカデミー賞候補入り間違いなしと目されていたが、こちらもスペイシーの出演シーンを全てカット、クリストファー・プラマーを代役に立てて撮り直すという。

スペイシーは、先述のラップに対する謝罪文で、同時に同性愛者であることを突然カミングアウトした。今まで頑なに私生活を語らずにいた彼の、このタイミングでの告白は、未成年者へのセクハラから話題をすり替えようとする意図と受け取られ、同性愛者の団体などからも批難が殺到している。

『トイ・ストーリー』シリーズの監督、『アナと雪の女王』では製作総指揮を務めたピクサーのCCO(チーフクリエイティブオフィサー)、ジョン・ラセターもセクハラ行為で半年間休職することになった。ラセターはピクサー社員や仕事関係者にハグすることで知られていたが、体をつかんだり、キスをするなど明らかに過剰な行為があり、体型についてコメントすることもあったという。ラセターは「望まないハグや、いかなる形であれ一線を超えたと感じる行為を受けた人々に謝りたいです」と社内に向けたコメントで謝罪した。

『ラッシュ・アワー』シリーズなどハリウッドのエンタメ作品のヒットメーカーで、『レヴェナント:蘇りし者』などの製作総指揮としても知られるブレット・ラトナー監督も、6人の女優からセクハラで訴えられた。

その1人、オリヴィア・マンは2010年に発表した自伝で名前を伏せたまま、ラトナーから受けた性的嫌がらせを告発していた。ラトナーは翌年、TV番組に出演した際に「あれは自分のことだ」と自ら明かし、その上でマンと性行為をしたとまで語ったが、これは嘘。のちに事実ではないことを認めた。

●ハリウッドにはびこる未成年者への性的虐待

エレン・ペイジは18歳で『X-MEN: ファイナル ディシジョン』に出演した際、ラトナーから受けたハラスメントをフェイスブックに投稿。ペイジは2014年に同性愛者であることをカミングアウトしたが、そのはるか以前の2005年、『X-MEN: ファイナル ディシジョン』の撮影現場でラトナーは「自分がゲイだとわからせるために、お前が彼女をファックしろ」とペイジの隣にいた女性に言い放ったという。

絵に描いたような下衆な振る舞いが次々と明らかになったラトナーは、大ヒット作『ワンダーウーマン』の続編に関わる話もあったが、主演のガル・ガドットがラトナーが続投するなら出演しないと表明、結果、ラトナーはワーナーから排除された。

彼ら以外にも、「俺はロバート・ダウニーJr.を育てた男」と吹聴して新人女優や女学生を標的にセクハラを行い、レイチェル・マクアダムスなど38人から被害を訴えられたジェームズ・トバック監督、TVの女性リポーターやメイクアーティストへのセクハラを告発されたベン・アフレック、1985年に映画の撮影現場で17歳だったインターンの女性にセクハラをしたと訴えられたダスティン・ホフマンなど、悪質なものから、行った本人に悪気はなくセクハラをした自覚さえなかったものまで、被害の声は今も上がり続けている。

冒頭のケヴィン・スペイシーのセクハラ騒動で、再び光が当たり始めたのはハリウッドの未成年者に対する性的虐待だ。『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』で知られるコリー・フェルドマンは、以前から子役たちへの性的虐待について告発、ローティーンの頃に複数の大人から被害を受けたと明かしていた。同じ子役仲間で『ロストボーイ』などで共演した故コリー・ハイムも11歳の時にハリウッドの大物から虐待を受けたと暴露。11月にはハイムの友人が、ハイムは13歳の時に映画で共演したチャーリー・シーンに性的暴行を受けたと暴露した。シーンの代理人は完全否定したが、複数の情報源が生前のハイムから暴行について聞かされていたという。

フェルドマンは、自らの半生を元にハリウッドにはびこる小児性愛被害をテーマにしたドキュメンタリー映画の製作に着手。大手クラウドファンディング「INDIEGOGO」で資金調達を始めた。同ページに添えられたビデオ・メッセージでフェルドマンは「いますぐ6人の実名を上げることができる。そのうちの1人は大物だ」と語っている。

フェルドマンの行動を受けて、18歳以下の未成年への性的暴行に対する時効延長法案(コリー法)づくりをホワイトハウスに訴える署名活動も始まっている。