…前編「チャラチャラした冒険ファンタジーじゃない! 肝っ玉母さんの深〜い原作がついに映画化」より続く
【元ネタ比較】『鋼の錬金術師』中編
架空の町やキャラクターの実写化に不安よぎる
荒川弘の初連載にして大ヒットしたコミック、「鋼の錬金術師」が実写映画化された。原作は冒険ファンタジーだが、チャラチャラした子供だましな内容ではなく、死生観を感じさせる深い裏テーマも描かれている。
エルリック兄弟が錬金術師であることも、単に富や名声を得るためではない。たったひとつの目的のためだ。それは弟・アルの体を取り戻すこと。
幼い頃にエドはアルを誘って錬金術の最大の禁忌である人体錬成を試みて、亡くなった母親を蘇らせようとし、エド自身は片腕と片脚を、アルは身体すべてを失ってしまったのだ。エドがとっさに魂だけを鎧に定着させたためにアルは鎧姿となり、エドはオートメイル(機械鎧)の義手と義足をつけているので“鋼の錬金術師”と呼ばれているのだ。
また、アニメ化も2003年からのTVアニメシリーズ『鋼の錬金術師』と、2009年からのTVアニメシリーズ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』と2回行われた。これは2009年版が続編というわけではなく、2003年版が原作の連載を追い抜いたためにオリジナルのストーリー展開となったため、原作通りのアニメ版をというファンの要望も高く、原作に準じた2009年版が放送されたのだ。
それほどまでに人気の高い原作が実写映画化されるとなれば、注目されないわけがない。
筆者が実写映画化のニュースを聞いたときは、ここに手を出すのはやめようよ〜と、とても不安になった。錬金術などは最新VFXでなんとかなるだろうが、舞台となる中世ヨーロッパのような架空の町・アメストリスの再現やキャラクターたちはどうなるんだ⁉、と。
ただ、金髪のエドが山田涼介に決定し、山田が地毛を金髪に染めて扮したエドの姿と、短い予告編映像を見たときは意外といけるかも⁉と期待に変わった。そして、いざ、完成した実写映画版を見てみると……予想外の事態だった! ここまでだとは……。
・後編「実写版『ハガレン』最新VFX力は松雪泰子の肌修正に注がれた?」に続く…
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