【興行トレンド】2017年の勝ち組・負け組/前編
東宝、15年連続の首位も
実写映画のヒット作乏しく
2017年の映画会社の勝ち組・負け組を「日本編」「ハリウッド編」の2回に分けて取り上げます。今回は日本編です。
1月〜10月までの映画会社別の総興行収入を見ると、勝ち組の筆頭は東宝の556億円。2位のウォルト・ディズニーに240億円の差をつける断トツの1位だ。このまま年間首位を記録するのは間違いなく、15年連続での首位となる。
・2017年は洋画が強かった! 邦画実写は低迷で、トップ10入りはゼロ
配給したアニメ映画『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』などが大ヒットした。ただしアニメに比べて実写映画にヒット作が乏しく、興収30億円を超えたのは『君の膵臓をたべたい』だけだった。
2位はウォルト・ディズニー(310億円)。ディズニー作品は『美女と野獣』(125億円)を筆頭に『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(68億円)、『モアナと伝説の海』(52億円)、『ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(46億円)が大ヒット。ディズニーはファミリー向け実写映画、アクション、アニメーションとのバランスの取れたラインアップ戦略が安定していて、ヒットに結びついている。
3位は東宝東和&東和ピクチャーズ(235億円)。ユニバーサルを配給する東宝東和では『怪盗グルーのミニオン大脱走』(73億円)、『SING/シング』(52億円)、『ワイルド・スピード ICE BREAK』(42億円)、パラマウントを配給する東和ピクチャーズでは『トランスフォーマー/最後の騎士王』(16億円)がヒットした。
負け組は20世紀フォックス(44億円)。最大のヒット作が『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の12億円。前作がヒットした『エイリアン:コヴェナント』『猿の惑星:聖戦記』も軒並み10億円に届かなかった(…後編に続く)。(文:相良智弘/フリーライター)
・後編「ホラー映画新記録を樹立の『IT』。不気味すぎるピエロで3億ドル超の大ヒットに」
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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