農村に君臨する権力者と青年が、立場を超え次第に奇妙な関係になっていく…インドネシア戦慄の歴史を寓話的に描く『沈黙の自叙伝』
裏切りと静寂に満ちた舞台が湿気に満ちた熱帯に立ち現れる——
マクバル・ムバラク監督の長編デビュー作『沈黙の自叙伝』が公開されることが決定した。本作よりポスタービジュアルと予告編を紹介する。
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暴力と欺瞞に満ちたインドネシアの近現代史を寓話的に描いた本作は、第79回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で上映されるやいなや大きな話題となり、国際批評家連盟賞を受賞。さらに、第23回東京フィルメックスコンペティション部門では、審査員長のリティ・パン監督から絶賛され、最高賞の最優秀作品賞を受賞した。
青年ラキブは、退役した将軍プルナが所有する空き屋敷で、たった1人の使用人として働くことになる。ラキブの一族は、何世紀にもわたり将軍に仕えてきたが、父が刑務所、兄が海外に出稼ぎに出ていることから、ラキブがその役目を果たすしかなかったのだ。
プルナはラキブに対して立場を超えたように親身に接し、父親代わりの存在となりつつあった。ラキブ自身もプルナのアシスタントとして、仕事と生活の中で天職を見出す。そして、地元の首長選挙に立候補した将軍の選挙キャンペーンが始まり、2人の運命も大きく動き出す。
ドキュメンタリー映画『消えた画 クメール・ルージュの真実』(13年)の監督であり、東京フィルメックス審査委員長のリティ・パンは、本作について「見事な演出による自信に満ちた映画スタイル。巨大な網に対する個人の抵抗の探求が次第に権力構造の不穏な邪悪さへと変化する様子を描いている」とコメント。「VARIETY」は、「インドネシアの隠された闇の核心に迫る、しなやかで洗練されたスリラー」と評している。
紹介するポスタービジュアルは、上部にラキブ、下部に将軍プルナを配したデザイン。「抑圧と裏切り 逃走と血」というキャッチコピーが、暴力に彩られた不穏なドラマを予感させる。また、将軍が集会所で演説するシーンから始まる予告編は、将軍と彼に仕える主人公ラキブの奇妙な関係を描き出す。
『沈黙の自叙伝』は9月16日より全国順次公開。
・『沈黙の自叙伝』のポスタービジュアル&場面写真はこちらから!
・[動画]インドネシア戦慄の歴史、独裁者と仕える青年の奇妙な関係/映画『沈黙の自叙伝』予告編
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