「なぜ日本にはこんなにもエロなアートが…?」“春画”に惹かれた監督が北へ南へ奔走!禁じられた美の世界を紐解くドキュメンタリー
#ドキュメンタリー#会田誠#吉田羊#平田潤子#映画#春の画SHUNGA#木村了子#森山未來#横尾忠則
多彩な表現内容、技巧、その創造性、表情豊かに描かれる「性」と「生」
2015年開催の「春画展」に触発された企画された劇映画『春画先生』が10月13日に公開されるなど、”春画”に注目が集まっている。そんな中、ドキュメンタリー『春の画SHUNGA』が劇場公開されることが決定しポスタービジュアルが公開された。
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葛飾北斎、喜多川歌麿をはじめとする江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ春画──。絵師・彫師・摺師の才能と高度な技術により、「美」「技」において超一級の芸術と呼べる作品が数多く生み出されたが、時代が江戸から明治に変わると“猥褻画”として警察による取り締まりの対象となり、日本文化から姿を消してしまった。出版物や展覧会を通してアートとして再評価の機運が高まったのは、つい最近のこと。
本作は、春画の多彩な表現内容、技巧、その創造性、表情豊かに描かれる「性」と「生」を発見する驚きのドキュメンタリー映画。美しい映像で映し出されるのは、北斎の有名な“蛸と海女”の絵、歌麿の「歌まくら」、鳥居清長の「袖の巻」、鈴木春信のユーモラスな「風流艶色真似ゑもん」、大名家への嫁入り道具と伝えられる華麗な肉筆巻物、ヨーロッパのコレクター秘蔵の春画幽霊図などなどバラエティーに富んだ傑作の数々。
さらには、贅を尽くした源氏物語のパロディー「正写相生源氏」(歌川国貞)の絢爛豪華な“極初摺り”も登場。金・銀などを惜しみなく使い、超絶技巧を駆使した立体的な表現は、現代では再現不可能とまで言われている。
春画に描かれている性愛のかたちは、驚くほど多彩かつ、必ずしも性愛だけを描くわけでもない。そこには歓喜と興奮、情熱と悲哀、嫉妬、駆け引きなど人間味あふれるドラマや、春画が「笑い絵」と称されユーモアをもって描かれる「生命」そのものの魅力に引き込まれずにはいられない。また、復刻やデジタル化などのプロジェクトを紹介。没入感を味わえる春画のアニメ化も必見だ。
監督は、ディレクターとして数々のドキュメンタリー番組を手掛けてきた平田潤子。約150年間にわたって禁じられた上に、忘れられていた文化である「春画」の持つそのドラマチックさに惹かれ、北海道から九州、さらには海外にまで取材し、美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、画家などに取材を重ねた。アニメパートの声の出演として、森山未來と吉田羊が参加。江戸時代の人々が親しみ楽しんだ春画の世界が、活き活きとした躍動感をもって見るものに迫ってくる。
ポスタービジュアルでは、喜多川歌麿の「歌まくら」、葛飾北斎「喜能会之故真通」の“蛸と海女”の絵を組み合わせ、「禁じられた美の世界。私たちは、まだその奥深さを知らない。」というキャッチコピーを配置。タブーとなり多くの日本人が知ることのなかった春画の魅力にあらゆる角度から迫り、その奥深い世界へと観客をいざなう映画を表現している。
■平田潤子監督コメント
なぜ日本にはこんなにもエロなアートがあるんだろう? この圧倒的なクオリティと成熟はなぜ? そんな好奇心から春画をめぐる旅をはじめました。ご先祖さまたちの性に対する飽くなき探求心に、感心したりあきれたり…でも撮影を通して感じたのは、生そのものの持つ官能性と、美しさでした。めくるめく春画の世界に描かれた、ちょっとおかしくて愛おしい人間たち。今と変わらぬ彼らの姿を、ぜひのぞき見てください。
■小室直子(企画・プロデュース)コメント
本作は2019年の夏ごろから企画をはじめました。本年10月13日公開の劇映画『春画先生』を制作する中で、あまりに春画世界が奥深くしかも、書籍でしか知ることのできない興味深いエピソードや作品にあふれていることを知りました。テレビでは放送できないけれど、映画館であれば映像で春画世界をもっと多くの皆様に紹介できると制作を決意しました。今まで春画について聞いたことがあるけど、良く知る機会がなかった皆様に楽しんでいただけると思います。
■橋本佳子(プロデューサー)コメント
5年前、日米国際共同制作の番組「江戸あばんぎゃるど」を制作しNHKで放送した。浮世絵をテーマにしながらもテレビという性質上、春画には触れることが出来ず、今回ついにその素晴らしさを描くことが叶えられた。期せずして出演者、スタッフに女性が多く集まった本作。その視点からタブーの存在として秘匿されてきた春画の豊穣な世界を紐解き、軽やかに令和の時代に解き放した。
『春の画SHUNGA』は11月より全国公開。
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