3月4日(日本時間5日)に迫ったアカデミー賞授賞式。既に発表されている批評家や映画関係者が選ぶ映画賞を見ると、最多13部門で候補となった『シェイプ・オブ・ウォーター』がリードする賞レースで、『スリー・ビルボード』が追う展開となっている。外国人記者約100人が選ぶゴ−ルデングローブ賞の監督賞は『シェイプ・オブ・ウォーター』、全米監督組合賞と全米製作者組合賞も『シェイプ・オブ・ウォーター』が受賞。一方、ゴ−ルデングローブ賞のドラマ部門の作品賞と全米俳優組合賞のキャスト賞(作品賞に該当)はは『スリー・ビルボード』で、英国アカデミー賞でも『スリー・ビルボード』が作品賞と監督賞を受賞している。
・アカデミー賞ノミネートに見る、「勝ち組」映画会社と「負け組」映画会社
一方、興行成績から賞レースを占ってみる。過去5年間の作品賞受賞作の興行収入(ノミネート前+ノミネート後+受賞後=総興収)は以下の通り。
●『アルゴ』(2013年)1億1030万+1930万+640万=1億3600万ドル
●『それでも夜は明ける』(2014年)3900万+1130万+630万=5660万ドル
●『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2015年)
2660万+1120万+460万=4240万ドル
●『スポットライト 世紀のスクープ』(2016年)2890万+1030万+590万=4510万ドル
●『ムーンライト』(2017年)1590万+640万+560万=2790万ドル
●『ムーンライト』を除く4作は総興収が4000万ドルを超えている。特にノミネート後に1000万ドル以上興収を伸ばしているのが特徴だ。アカデミー会員も観客の一人であり、観客と同じような作品に関心を持ち、共感する側面もある。ノミネート後に観客の注目を集めた作品が受賞しやすい傾向がありそうだ。
今年の作品賞候補作の興収は以下の通り(ノミネート前+ノミネート後=2月19日時点の興収)。
◎『ダンケルク』1億8800万+0=1億8800万ドル
◎『ゲット・アウト』1億7570万+40万=1億7610万
◎『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』4580万+3130万=7710万
◎『シェイプ・オブ・ウォーター』3040万+2320万=5360万
◎『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』4110万+1230万=5340万
◎『スリー・ビルボード』3230万+1610万=4840万
◎『レディ・バード』3920万+730万=4650万
◎『ファントム・スレッド』640万+1150万=1790万
◎『君の名前で僕を呼んで』940万+560万=1500万
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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