毒母の呪縛からは逃れられない! あの悲劇はこの母親から始まった

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
(C)2017 AI Film Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
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…前編「毒母を描いたブラックコメディ〜」より続く

【ついついママ目線】
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』後編
毒母の暴力を受けた主人公は夫のDVも許してしまう

「ナンシー・ケリガン襲撃事件」で有名な元フィギュアスケート選手のトーニャ・ハーディングを描いた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』。本作で第90回アカデミー賞助演女優賞を受賞したアリソン・ジャネイが怪演する母親が強烈な毒母だ!

[動画]鬼母アリソン・ジャネイのしつけ映像解禁!!『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』本編映像

1970年にアメリカのオレゴン州ポートランドに生まれたトーニャの家庭は、俗に“ホワイト・トラッシュ”や“プアホワイト”と呼ばれる白人の低所得者層。母ラヴォナはトーニャをスケート選手にすることが貧困脱出の鍵になるとにらみ、スケートレッスンに通わせる。ラヴォナはトーニャを褒めて伸ばすなんてことはせず、ことあるごとに罵倒し、平気で手もあげる。トーニャは言葉と肉体的な暴力を日常的に浴びながら育ったのだ。

ブラックコメディ仕立てだから、まだ見ていられるけれども、実際にあったことかもしれないと思うと痛ましい。

ティーンエイジャーとなったトーニャは後に結婚するジェフと恋に落ちるが、これがまたとんでもなくDV男だ。しかし、トーニャはジェフに謝罪されるとすぐによりを戻すということを繰り返す。トーニャ自身も悟っているが、幼い頃から母親からの暴力の中で育った彼女は暴力を振るわれることに疑問を抱かず受け入れてしまうのだ。

母親から直接受ける暴力でなくても毒母の呪縛からは逃れられない。トーニャの人生の悲劇はこの母親から始まったといっても過言ではなく、少なくともこの母親がいなければこんな人生を歩むことにはならなかったろう。子どもの人生に対する母親の責任をまた痛感することとなった。

ちなみにパッツン前髪で鳥を肩に乗せてインタビューに答えるラヴォナの姿は変人に写り、誇張しすぎなのではないかと怪しんだが、エンディングで登場する本人はアリソン・ジャネイ演じる変人な母親とそっくりでびっくり!(文:入江奈々/ライター)

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は2018年5月4日より全国公開中。