第71回カンヌ国際映画祭が19日(現地時間)に閉幕、コンペティション部門の最高賞パルムドールを是枝裕和監督の『万引き家族』が受賞した。
・ゆっくりと、だが着実に理想へと進んでいくハリウッド/アカデミー賞授賞式を振り返る
日本映画として、今村昌平監督の『うなぎ』(97)以来の最高賞受賞となった是枝監督は「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです」と緊張気味にスピーチを始め、カンヌ国際映画祭に来るたびに「映画を作り続けていく勇気をもらいます。対立している人と人を繋いでくれる希望を持てる」と語り、一足先に帰国したキャストや日本で待つスタッフと受賞を分かち合いたいとしたうえで、「作品を選ばれたのにここに来られなかった2人の監督とも分かち合いたい」と、それぞれの国で自宅軟禁されているイランのジャファール・パナヒ監督(『3 Faces(英題)』)とロシアのキリル・セレブレンニコフ監督(『Leto(原題)』)にもふれた。
コンペティション部門出品は今回が5回目、2004年に『誰も知らない』で柳楽優弥に史上最年少の男優賞をもたらし、『そして父になる』(13)で審査員賞を受賞した是枝監督が、東京の片隅で万引きをして苦しい生活をしのぐ父と息子とその家族を描く『万引き家族』は、6月8日から日本公開される。
監督賞はポーランドのパヴェウ・パヴリコフスキ(『Cold War(原題)』が受賞。
脚本賞はイタリア、スイス、フランス、ドイツ合作の『Lazzaro Felice(原題)』のアリーチェ・ロルヴァケル監督と『3 Faces』のジャファール・パナヒ、ナデル・サエイヴァルが受賞。審査員賞は、社会の底辺で厳しい日々を送る12歳の少年を通して貧困や移民の問題を描いたレバノンの『Capharnaum(原題)』(ナディーヌ・ラバキー監督)が受賞。
男優賞は、イタリアのマッテオ・ガローネ監督の『Dogman(原題)』のマルチェロ・フォンテ。女優賞はロシア、ドイツ、ポーランド、カザフスタン合作でセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督の『Ayka(原題)』に主演したサマル・イェスリャーモフ。モスクワで働く不法移民のキルギス人女性を演じた。
ケイト・ブランシェットが審査委員長を務め、審査員9人中過半数の5人を女性が占めた今年は、映画祭期間中にレッドカーペットで女性映画人82名(第1回からコンペティション部門に選出されてきた女性監督の総数)が集い、映画業界での男女平等を訴え、女性の存在感が強く示された。また、『万引き家族』をはじめ、社会の中で忘れ去られた人々に光を当てた作品が評価される結果となった。
今年は、映画祭が1968年の五月革命を受けてジャン・リュック・ゴダール監督やフランソワ・トリュフォー監督、ルイ・マル監督らによって中止に追い込まれてちょうど50年だが、87歳にして新作『Le livre d’image(原題)』をコンペティション部門に出品したゴダール監督に、パルムドール特別賞が授与された。
主な受賞結果は以下の通り
パルムドール
『万引き家族』
グランプリ
『BlacKkKlansman(原題)』
監督賞
パヴェウ・パヴリコフスキ(『Cold War(原題)』)
審査員賞
『Capharnaum(原題)』
男優賞
マルチェロ・フォンテ(『Dogman(原題)』)
女優賞
サマル・イェスリャーモワ(『Ayka』原題)
脚本賞
アリーチェ・ロルヴァケル、(『Lazzaro Felice(原題)』
ジャファール・パナヒ、ナデル・サエイヴァル(『3 Faces(英題)』)
カメラドール(新人監督賞)
(『Girl(原題)』)ルーカス・ドント
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