誠心誠意フザけてみた! 俺ちゃん節の裏にあるのは意外に真面目な映画魂

#デッドプール2#週末シネマ

(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
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【週末シネマ】『デッドプール2』
前作以上にフザケ倒して大暴れ!

不死身でめちゃくちゃ強いのに、やたらおしゃべりで無責任なヒーロー“俺ちゃん”ことデッドプール。2016年に大ヒットした1作目を受けて製作された『デッドプール2』は、前作以上にフザケ倒し、仲間も増えて大暴れし、強烈なアクションが満載だ。

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マーベルヒーローながら、小さな子どもには刺激の強すぎるR指定キャラ。冒頭からバタバタ人は死ぬし、殺しているのは主人公だし、そこに不謹慎なギャグをかぶせてくる。前作同様、スクリーンから観客に語りかける主人公は「これはファミリー映画」と断言する。その主張に納得できるか、それを検証する2時間は、映画や音楽など多岐にわたる小ネタをこれでもかと盛り込んだ、 “俺ちゃんがミュータントの少年を守る”という本筋のストーリーで構成される。

最愛の恋人のために「いいヤツになる」と決意したウェイド・ウィルソン/デッドプールは、未来から来た殺人マシーン“ケーブル”に命を狙われる強力なパワーを持つミュータントの少年を守るため、特殊能力を持つメンバーを集めたチーム「Xフォース」を結成。強敵ケーブルに立ち向かう。

前作が恋人ヴァネッサとの恋愛映画でもあったのに対して、確かに本作はファミリー映画だ。ファミリーとは何なのか、どう向き合うものなのか? どぎついアクションや毒舌のブラックユーモアという描写だからこそ導き出されるものは新鮮で、突拍子もないストーリーと登場キャラである一方、テーマに対する作る側の真剣さや誠実さが伝わる。

主演のライアン・レイノルズは製作・脚本も兼ね、ウェイド/デッドプールというキャラクターを完全に自分のものしていている。彼はツイッターでのユーモラスなつぶやきも大人気だが、『デッドプール』シリーズの語り口は彼そのもの(=すごくイイ話なのに、それを素直に語らず茶化してしまう)のようだ。今回は、単なる敵役にとどまらない存在感のケーブルを演じるジョシュ・ブローリンの重みある強面との対比が最高のケミストリーとなっている。孤児のミュータント少年ラッセルの荒ぶる十代像を演じたジュリアン・デニソン、それを特殊能力と呼んでいいのか微妙すぎるパワーの持ち主ばかりのXフォースの面々を演じたザジー・ビーツ、ビル・スカルスガルドらも好演。

監督は『ジョン・ウィック』(14/チャド・スタエルスキと共同監督)、『アトミック・ブロンド』(17)のデヴィッド・リーチ。スタントマン出身らしく身体能力で見せるアクションにこだわった演出と、前作から続くレイノルズとレット・リース&ポール・ワーニックによるフザケながらシリアスな脚本で、サービス満点のエンターテインメントだ。(文:冨永由紀/映画ライター)

『デッドプール2』は6月1日より全国公開中。

冨永由紀(とみなが・ゆき)
幼少期を東京とパリで過ごし、日本の大学卒業後はパリに留学。毎日映画を見て過ごす。帰国後、映画雑誌編集部を経てフリーに。雑誌「婦人画報」「FLIX」、Web媒体などでレビュー、インタビューを執筆。好きな映画や俳優がしょっちゅう変わる浮気性。

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