映画『泣き虫しょったんの奇跡』の完成披露舞台挨拶が7月3日にTOHOシネマズ 新宿で行われ、主演の松田龍平をはじめ、野田洋次郎(RADWIMPS)、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、松たか子、小林薫、國村隼、豊田利晃監督、そして原作者の瀬川晶司が登壇した。
本作は史上初めて奨励会退会からプロ編入を成し遂げた棋士・瀬川の自伝的小説を映画化した人間ドラマ。幼い頃から将棋に取り組むも、1度は夢に破れサラリーマンの道に進んだしょったん(松田)が、再び夢をかなえるために奮闘する姿を描く。
将棋を指すシーンでは瀬川自身も現場に来ていたそうで、松田は「本人がいるので監督よりずっと気になってしまって、監督に演出をされても『いや、瀬川さんはそういうことしない』みたいな気持ちになってしまって。嬉しいやら、やりづらいやらの感じでしたけど、特別な撮影でした」と撮影エピソードを披露。
プライベートでも松田と交友があることから、しょったんのライバル役をオファーされた野田は「逆に僕はセリフとか言えるのか心配で、監督に『できなさそうです』と正直にメールを送らせていただいたら『いや、できるよ』と言われまして」と友人であるがゆえに悩んだことを明かしつつ、「最初のシーンから10回以上撮り直しをさせてしまって、一瞬後悔しそうになったけど、貴重で幸せな経験でした」と振り返った。
また、撮影の合間にはキャスト同士で将棋を指していたそうで、特に駒木根や永山絢斗、新井や松田が強かったことも紹介。逆に、新井は最弱だったメンバーとして妻夫木聡と染谷将太の名前を挙げると、「最弱でした。お互い詰められなくて、ニタニタニタニタしながら1日中終わらなかったです」とほほえましい裏話を語った。
さらに、新井は10年ほど前に松田と将棋を指した際はルールもうろ覚えだったことを振り返りつつ、「本作の現場で瀬川さんに教えてもらって本当に強くなっていて、1度も龍平に勝てなくて」と松田の進歩に驚いた様子。つい2〜3週間前に飲んだ際にも松田が「暗い顔をして『あ〜、伸び悩んでる。将棋が強くならない』」と言っていたことを明かすと、松田が「なんか壁にぶち当たって」とそのときの心境を説明。これに新井は「どこを目指してるのかわからないけど、さすが龍平だと思いました」と感心したように話した。
また、子どもの頃、奨励会に在籍したいたことのある豊田監督は映画化について「原作を7〜8年前に読んで、僕も将棋をやっていて奨励会をやめた経験があって将棋を憎んでいました。でも、原作を読んだらもう1度将棋を指したくなって。この映画をやりたいと思ったけど将棋の映画はダメだと断られて。ところがほかで将棋の映画が公開され、藤井(聡太)くんで将棋がブームになってくれて日の目を浴びたので、とても藤井くんに感謝しています」とやっとの思いで映画化が実現した本作への熱い思いを語っていた。
『泣き虫しょったんの奇跡』は9月7日より全国公開となる。
(text&photo:中村好伸)
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