ピクサーアニメーションの新作『インクレディブル・ファミリー』が快進撃を続けている。7月8日時点で興収5億400万ドルをあげ、アニメ映画歴代興収1位の『ファインディング・ドリー』(4億8600万ドル)を抜いて新記録を樹立した。
・興収100億突破も出るか!? 人気シリーズ勢揃いで盛り上がる夏映画の牽引役は?
『リメンバー・ミー』に続く大ヒットで絶好調のピクサーだが、先行きに不安なニュースが出ている。ピクサーの共同創設者であり、チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を務めるジョン・ラセターが年末にピクサーを退社する。昨年11月、ラセターが多くの女性社員に対して不適切なハグや接触を長年にわたり行っていたことが明るみになり、自主休職に入ったが、昨今のセクハラ問題もあってか、ピクサーへの復帰は叶わなかった。ピクサーの親会社はウォルト・ディズニーであり、企業イメージを重視してセクハラ問題に対して強い態度で臨んだ面がありそうだ。ラセターの後任のCCOには『インサイド・ヘッド』のピート・ドクターが就くとみられる。
ラセターの退社で今後のピクサーはどうなるのか。結論からいえば変わらず安泰が続きそうだ。実はラセターは、彼と同じピクサーの共同創設者でCEOのエド・キャットマルと共に、後進の人材育成に努めてきた。ピクサー1作目『トイ・ストーリー』、2作目『バグズ・ライフ』、3作目『トイ・ストーリー2』はラセターが監督を務めたが、その後は監督を若手にバトンタッチ。4作目『モンスターズ・インク』ピート・ドクター、5作目『ファインディング・ニモ』アンドリュー・スタントン、6作目『Mr.インクレディブル』ブラッド・バードが務めた。
今後のピクサーの新作だが、19年6月公開(米国)で『トイ・ストーリー4』が控え、その後も20年3月、6月、21年6月に新作(タイトル未発表)を公開すると発表している。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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