【週末シネマ】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
動物愛護にホラーにロマコメ! 多彩なエッセンスに大興奮
現代によみがえった恐竜たちがテーマパークで大暴れする『ジュラシック・ワールド』(15年)の続編で、シリーズ3部作の第2作となる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』。今回、恐竜たちはテーマパークを飛び出し、スケールの大きなアクション・アドベンチャーに、人間の強欲という別種の恐怖や家族愛も加わったエンターテインメント大作に仕上がった。
・圧巻サバイバルの舞台裏を語る/『ジュラシック・ワールド〜』クリス・プラット インタビュー
遺伝子操作によって生み出されたハイブリッド恐竜インドミナス・レックスとT-REXのバトルでテーマパーク「ジュラシック・ワールド」が破壊されてから数年、パークの所在地である島、イスラ・ヌブラルの火山に噴火の兆しが現れ、残された恐竜たちを救出すべく、パークの運営責任者だったクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、パークで恐竜監視員をしていた恐竜行動学の専門家・オーウェン(クリス・プラット)と島へ向かう。
前半は火山噴火の危機が迫る中、恐竜たちの救出とその裏で暗躍する勢力との攻防でダイナミックなアクションとスリルあふれるアドベンチャー。後半はクレアたちの支援者を買って出たロックウッド財団の長、ベンジャミン・ロックウッド(ジェームズ・クロムウェル)の邸宅に舞台を移し、10歳の孫娘・メイシーも加わったゴシックホラー風味も加わる。
メイシーを演じるイザベラ・サーモンは本作でデビューを飾る新人だが、両親がおらず祖父や母親代わりの家政婦と暮らしながら、自らのルーツに思いを馳せる少女を熱演。家政婦役のジェラルディン・チャップリンや、レイフ・スポール(『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』)、トビー・ジョーンズ(『アトミック・ブロンド』)といった俳優たちが醸し出す空気に、うっすらとヨーロッパのホラーの雰囲気がある。
画面サイズを問わない作品も増える中、3Dに4DXなど、家庭ではなく劇場で体感する楽しさを極めたアトラクションとしてはもちろん、自然への畏れを忘れた傍若無人な人間の欲が生む代償についても踏み込み、考えることを促す。夏休みにふさわしい1作だ。(文:冨永由紀/映画ライター)
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は7月13日より全国公開中。
冨永由紀(とみなが・ゆき)
幼少期を東京とパリで過ごし、日本の大学卒業後はパリに留学。毎日映画を見て過ごす。帰国後、映画雑誌編集部を経てフリーに。雑誌「婦人画報」「FLIX」、Web媒体などでレビュー、インタビューを執筆。好きな映画や俳優がしょっちゅう変わる浮気性。
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