どれだけ歳を重ねても不器用にしか生きられない男と女の恋愛模様の一端
芥川賞受賞の松浦寿輝による同名小説に“ピンク映画へのレクイエム”というモチーフを盛り込んだ映画『花腐し(はなくたし)』。本作より、栩谷(綾野剛)がかつての恋人・祥子(さとうほなみ)との関係が“腐って”いくきっかけを、声を絞り出すように告白する本編映像を紹介する。
・柄本佑&綾野剛、『花腐し』で初の本格共演! 本読みで感じた互いの”ヤバさ”語る「迷わずポンと出てくる感じにけっこう圧倒されて…」
『赫い髪の女』(79年)『キャバレー日記』(82年)など日活ロマンポルノの名作から、『ヴァイブレータ』(03年)『共喰い』(13年)をはじめとする日本映画の脚本を数多く手がけてきた荒井晴彦が、『火口のふたり』(19年)に続く自身4目の監督作品として選んだ本作。主人公・栩谷に綾野剛、共演に柄本佑、さとうほなみを迎え、ふたりの男とひとりの女が織りなす湿度の高い男女の物語を描き出す。
・[動画]綾野剛が柄本佑に明かす、昔愛した女への取り返しのつかない後悔/映画『花腐し』本編映像
斜陽の一途にあるピンク映画業界。栩谷(綾野)は監督だが、もう5年も映画を撮れていない。梅雨のある日、栩谷は大家から、とあるアパートの住人への立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関(柄本)は、かつてシナリオを書いていた。映画を夢見たふたりの男の人生は、ある女優(さとう)との奇縁によって交錯していく。
映像は、かつての恋人・祥子との関係について声を絞り出すように告白する栩谷を切り取ったもの。「あの時俺は『そうか』としか言わなかった」―祥子が他の男性との関係を持っていることが分かったとき、彼女を責めず、殴らず“大人の態度”とったのだと言う。
しかし、その「『そうか』をきっかけに、俺たちの関係は腐り始めた」。自分の犯してしまった取り返しのつかない罪を自覚した栩谷は、後悔の念を伊関に明かす。「男と女の関係は、いつまでも新鮮じゃいられない」「腐って腐って、そしてお別れさ」飄々と語る伊関の姿も相まって、どれだけ歳を重ねても不器用にしか生きられない男と女の恋愛模様の一端を覗き見るようなシーンとなっている。
『花腐し』は現在公開中。
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