9分間にわたる壮絶なレイプシーンが話題に…伝説的衝撃作 『アレックス STRAIGHT CUT』撮影を監督＆キャストが振り返る

「病」と「死」がテーマの最新作『VORTEX ヴォルテックス』の公開も迫る

実験的な試みと過激描写で世界中を挑発し続けてきた鬼才ギャスパー・ノエ監督が、お得意の「暴力」「セックス」を封印し、「病」と「死」をテーマに新たな世界を作り上げた最新作『VORTEX ヴォルテックス』。同作の公開が迫るなか、ノエ監督による伝説的衝撃作『アレックス STRAIGHT CUT』（02年）より、モニカ・ベルッチらキャスト陣が当時を振り返る特典映像を紹介する。

・強烈な描写で途中退場続出…伝説のカンヌ問題作『アレックス』“逆転完全版”

『VORTEX ヴォルテックス』は、人はどう死んでいくのか、誰もが目をそむけたくなる現実を、真正面から冷徹なまでにまざまざと描いたノエ監督の新境地にして最高傑作。スプリットスクリーンの画面分割によって、老夫婦の日常が2つの視点から同時進行で映し出されていく。心通わぬ家族、不測の出来事、やがて訪れる死。我々は、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれ、“死ぬまで”を追体験する。

主演は、80歳にして初主演を果たしたホラー映画の帝王ダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』（73年）の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾り伝説的な女優となったフランソワーズ・ルブラン。演技とは思えないふたりの奇跡の名演に目を奪われずにはいられない。

ノエ監督がアルジェントを主演におくりだす新たな“地獄”『VORTEX ヴォルテックス』の公開が迫るなか、ノエ監督最大の問題作『アレックス』を監督自らが時間軸に沿って再構築、編集した“逆転完全版”『アレックス STRAIGHT CUT』Blu-ray＆DVDが発売となる。

“取り返しのつかない”一夜の悲劇を描いた本作は、初お披露目となった2002年の第55回カンヌ国際映画祭において、その強烈な描写の数々に途中退場者が続出。とりわけ、“イタリアの至宝”ことモニカ・ベルッチ演じるアレックスが、およそ9分間にわたり壮絶なレイプを受けるシーンが話題となり、賛否両論の渦を巻き起こした。

本作のBlu-ray初回限定版には、この悪夢的作品を生み出したノエ監督のみならず、ベルッチやヴァンサン・カッセルらキャスト陣や当時の制作陣が撮影を振りかえるインタビューが40分以上にわたり収録されている。

今回紹介する映像では、ノエ監督が「レイプの場面は6回撮影した」と解説。見る者に凄惨な印象を与えるにあたり、何度も撮り直したことを強調し、このシーンを作り上げるためにアレックスを演じるベルッチと、彼女に暴行を加える男テニアを演じたジョー・プレスティアに、「私はこう頼んだ。“リアルな長さになるよう演じてくれ”と」と徹底してリアルな表現にこだわったことを語る。

演じたプレスティアは、「撮影が始まる前、モニカは私を隅に連れていき、こう言った“ジョー、手加減はしないで”と。私はその言葉で彼女を失望させたくないと思ったんだ」というやりとりがあったことを明かす。

壮絶な演技を披露したベルッチは、「集中すると体が仕事の道具になるの。カチンコの音を聞くと魔法にかかったようになる。説明はできないけど、演技の魔法ね。演技は真実ではなく真実の表現なの。つらいシーンでもそこで起きることは全部前もって決まっている。真実にみえてもダンスの振り付けのようなものよ」と、自身の演技における私見を述べる。

映像の締めくくりにノエ監督が「撮影した映像をモニカとジョーとみた。“本当のようだ”とその迫力に笑っていたよ」と、最終的に出来上がったシーンが納得の出来であったことを回顧している。最新作『VORTEX ヴォルテックス』の公開を前に、この超問題作『アレックス STRAIGHT CUT』をチェックすれば、より一層ノエ監督が生み出す“地獄”を楽しめることだろう。

『アレックス STRAIGHT CUT』特別版【初回限定版】Blu-rayは11月15日発売（特典映像は特別版【初回限定版】Blu-rayにのみ収録）。『VORTEX ヴォルテックス』は12月8日より全国公開。

・『VORTEX ヴォルテックス』の場面写真はこちらから！

・［動画］認知症の妻と心臓病の夫、死よりも恐ろしい「現実」。監督ギャスパー・ノエ×主演ダリオ・アルジェント／映画『VORTEX ヴォルテックス』予告編