Instagramに投稿した「僕はマットマンだ。」という一言が最後の言葉に
10月28日に急逝し、世界中のファンや代表作『フレンズ』のキャストをはじめ多くのセレブたちが追悼したマシュー・ペリー。彼が公の場で最後に発した言葉について、『ドント・ルック・アップ』などのアダム・マッケイ監督が語った。
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生前のペリーはSNSのアカウントを持っていたが、10月に入って約半年ぶりにInstagramを更新すると、22日までに9回投稿している。父親とのツーショットもあるが、その他の投稿にはバットマンのイメージと自分の名前をもじった「マットマン(Mattman)」という謎の言葉だ。
22日の投稿で、夜間に露天の大きなバスタブに浸かった自身の写真に添えたコメントの「僕はマットマンだ。」という一言が彼の公の場での最後の言葉となった。
ペリーはバットマンの大ファンとして知られ、2022年発表の回顧録「Friends, Lovers, and the Big Terrible Thing(原題)」の最終章のタイトルは「Batman」だ。 2017年には2000万ドルで購入した邸宅を「バットケイブ」と名づけている。
「マットマン」とは何かの暗号なのか、内輪のジョークなのか、ペリーが助けを求めるメッセージではなかったかとTikTokなどで論争を呼んだこの言葉について、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15年)でアカデミー脚色賞を受賞したアダム・マッケイ監督がアメリカの業界誌「The Hollywood Reporter」でエピソードを語った。
マッケイ監督はレオナルド・ディカプリオ主演のNetflix映画『ドント・ルック・アップ』(21年)を監督したが、メリル・ストリープやジェニファー・ローレンスらが出演する大作にペリーもニュースキャスター役で出演予定だった。実際に1シーン撮影したが、完成作ではカットされている。
彼の健康問題を知りつつ起用を決めた監督は、2020年11月の撮影合間にペリーからマットマンのアイディアを持ちかけられたという。ペリーは主人公について、「彼の名前はマットで、とても有名で50歳くらい。彼の人生は混乱していて、迷っている」とし、「そんな時、遠い親戚が亡くなって彼に20億ドルの遺産が遺された。彼はそれをスーパーヒーローになるために費やす」とコンセプトを語ったという。
マッケイ監督はそのアイディアを通してペリーの心の内を覗く窓と捉えて魅了されたという。「どんな映画でも、そのアイディアは誰かの夢を語るようなものだ」と語る。
ペリーは長年アルコールや薬物の依存症と闘い続け、近年は依存症に苦しむ人々の回復を手助けする活動に熱心で、更生しようとする人々のシェルター開設などに取り組んでいた。
ペリーは自分で主演することを思い描いていたが、長編映画にするのかTVシリーズにするのかについてのこだわりはなかったそうだ。
ペリーの提案を受けて監督は「信じられないほど人気者の有名なTVの人が中毒と向き合っているという内容の番組」を考案し、「あなたの闘いをフィクション化した番組を作りませんか?」と持ちかけたが、ペリーは関心を示さず、そこで話は終わってしまったという。
ペリーは『ドント・ルック・アップ』のボストンの撮影現場に現れた際は明らかに体調不良な様子で、1シーンを撮り終えるとプライベートジェットでスイスに渡航し、治療施設に入所した。
マッケイ監督はペリーが向かった先が「リハビリ施設だとは知らなかった」そうだ。「健康のための浄化(クレンズ)か何かだと思っていた」と自身の不明を恥じる監督は、ペリーの出演シーンをカットしたことを残念だったと語っている。
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