松田龍平主演、豊田利晃監督により、将棋界に奇跡をもたらした異色の棋士・瀬川晶司五段の自伝的小説を映画化した『泣き虫しょったんの奇跡』。この作品の公開を記念し、第52回東急百貨店将棋まつりにて、羽生善治竜王と瀬川晶司五段による東急百貨店スペシャル対談が8月3日に実施された。
本作は、幼い頃から将棋一筋で生きてきた“しょったん”こと瀬川晶司(松田龍平)が、「26歳の誕生日を迎えるまでに四段昇段できないものは退会」というプロ棋士養成機関・奨励会の規定により、26歳にして人生の目標を失い社会の荒波に放り出されてしまうところから展開。一度は夢破れた“しょったん”が、周囲の人々に支えられながら、史上初めて奨励会退会からのプロ編入という偉業を成し遂げた奇跡の実話を描く。
司会から映画化が決定した時の心境を問われた瀬川五段は「嬉しいという気持ちと、本当なのかな? という半信半疑な気持ちもあって。話を聞いたのが春だったので、最初はエイプリルフールの嘘なんじゃないかと思いました(笑)」と回答。『聖の青春』『三月のライオン』と将棋映画が立て続けに公開となっている昨今。自身の役を俳優たちが演じることに対する心境を聞かれると、『聖の青春』で自身の姿が描かれた羽生竜王は、「自分で(役者が演じる)自分の姿を見るのは不思議な感じですよね」と照れ笑い。
その上で羽生竜王が「瀬川さんの場合は、まさに自分の人生の歩みが1本の作品になっているわけですからね。(本作で登場する)幼い頃のお話に関しては特に覚えていなかったりもすると思うんですが、そのあたりはどうされたんですか?」と瀬川五段に問いかけると、「実際は劇中で役者さんたちが演じた実在する登場人物の方々に、(当時)どういう感じだったかお聞きして、そういえばそういうこともあったなと思い出したりして…。その繰り返しでしたね」と作品が出来上がるまでの過程を振り返った。
そんな松田に対し瀬川五段は、撮影前から週に1度程度、将棋を指す手つきから指導に入ったという。松田はそこで瀬川五段のクセや特徴を徐々に掴んでいった。さらに「松田さんが本作の撮影に入る前、『散歩する侵略者』という作品で宇宙人の役を演じられていたそうなんですが、その直後に本作では私の役ということで、非常に大変だったとお話しされてましたね(笑)」と裏話も披露していた。
『泣き虫しょったんの奇跡』は9月7日より全国公開となる。
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