「女の快楽を肯定する」「神は陰毛に宿っている」上野千鶴子、西川美和らが春画ドキュメンタリー『春の画 SHUNGA』にお墨付き!
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江戸時代に隆盛を極め、明治時代に禁じられた春画の奥深き世界に迫る
江戸時代に隆盛を極め、明治時代に禁じられた絢爛たる文化「春画」の奥深き世界に迫るドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』。本作より、各界著名人の推薦コメントとコメント入り予告編を紹介する。
・”おおらかな性の文化”だった春画はなぜ”タブー”になったのか?『春画先生』塩田明彦監督が春画の辿ってきた歴史語る
葛飾北斎、喜多川歌麿をはじめとする江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ「春画」。絵師・彫師・摺師の才能と高度な技術により、「美」「技」において超一級の芸術と呼べる作品が数多く生み出されたが、時代が江戸から明治に変わると“猥褻画”として警察による取り締まりの対象となり、日本文化から姿を消してしまった。出版物や展覧会を通してアートとして再評価の機運が高まったのは、つい最近のこと。
本作は、100点以上に及ぶ春画と、国内外の美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、摺師などへの取材をもとに、表情豊かに描かれる「性」と「生」を発見する驚きのドキュメンタリー。春画を知ると、現代人が知らなかった<日本の姿>が見えてくる――。
今回、総勢12名の各界著名人からお墨付きコメントが到着した。映画監督の西川美和は「神は陰毛に宿っている。ミリ単位の彫りと摺りが圧巻」と本編中に垣間見ることができる春画の技巧を賞賛。TOKYO MX『5時に夢中!』コメンテーターとしてもおなじみ、作家の岩下尚史は「天岩戸以來の男女、女女、男男の交合はいづれもめでたく、笑ふべきものなれば」と、“笑い絵”とも称される春画の本質を表した。
社会学者の上野千鶴子は「春画のお約束は和合。女の快楽を肯定する」と春画における女性の描かれ方を指摘。エッセイストの酒井順子は「女も男も、自身の肉体の声に素直に耳を傾けていた時代の息吹が、この映画には満ちています」とコメントし、江戸文化研究家の田中優子は「江戸時代、いや日本のイメージが大きく変わる映画だ。全ての人に見ていただきたい」と太鼓判を押している。
■岩下尚史(作家)
ほんの百五十年ほど前には極く、あたりまえであつたことに小めんどうな理窟を附けなければ樂しむことを憚られた時代が、やうやく、女性たちの直觀によつて終りさうな豫覺のする春宮祕圖記錄映畫。他國は知らず、天岩戸以來の男女、女女、男男の交合はいづれもめでたく、笑ふべきものなれば。
■上野千鶴子(社会学者)
春画は日本が世界に誇る国宝である。わけても清長の「袖の巻」は最高峰だ。
その絵師、彫師、摺師、版元からなるマニファクチュアの技を伝承するための復刻プロジェクト。
春画のお約束は和合。女の快楽を肯定する。
江戸時代に男の男による男のためのポップアートだった春画を、21世紀に女の手によるドキュメンタリーが甦らせた。
感慨を覚える。
■車浮代(時代小説家・浮世絵研究家)
この映画、永久保存版! 劇中で「世界中でエロティックアートを有名なアーティストが手がけたのは日本だけ」という発言がありましたが、実はピカソもロダンも春画を描いています。ただしそれは、日本の春画に触発されてのこと。幕府の検閲を逃れて、やりたい放題技術を注ぎ込んだ春画は、アートであるとともに、凄腕の彫師や摺師による超絶技巧の工芸品でもあるのです。アンダーヘアの彫りの技術も、空摺、きめだし、正面摺りといった摺の特殊技法も、傑作揃いの作品群と、変化に富んだ構成、及び大スクリーンで、本作は余すところなく魅せてくれます。
■酒井順子(エッセイスト)
女も男も、自身の肉体の声に素直に耳を傾けていた時代の息吹が、この映画には満ちています。
江戸の人々の春画に対する情熱と技量に圧倒されました。
■笹井さゆり(イラストレーター)
私たちの思う教科書的な江戸時代の人はどこへやら。
自由で時にしょうもない、愛すべき人たちが画面いっぱいに活躍しています。
その姿は美しくて、色々とR18なわけで、クスッと笑えて…そして敬意がわいてくる。
現代から江戸時代を生きた人への、丁寧でまっすぐな恋文です。
■鈴木涼美(作家)
わいせつ物として長く芸術の世界から排除されてきたものの中に発見できる、人間の夢や日常、可笑しさや悦びはどれも目を奪うほど眩い。そして普段は最も隠されているような光景に、気が遠くなるような作業工程や技術が注ぎこまれている事実になんだかとても逞しい気持ちになった。
■田中優子(江戸文化研究家・法政大学名誉教授)
江戸時代、いや日本のイメージが大きく変わる映画だ。冒頭、清長の『袖の巻』から始まる。これは最高に品格のある春画である。しかしこの映画はその対極にあるグロテスクまで全て見せた。人間から性だけを搾取して消費する今日とは逆に、性の中に人間の生命力、表現への熱情、最高の技術等々、ありとあらゆる文化が見えるのが春画だ。全ての人に見ていただきたい。
■アートテラー・とに~
タブー視されがちな性の話題。
しかし、江戸時代の人々は“春画”を通じてオープンに語り合っていたのですね。それも、笑い飛ばして。
コンプライアンスや自主規制といった風潮に息苦しさを感じる今だからこそ見ておきたい映画です。
■西川美和(映画監督)
神は陰毛に宿っている。ミリ単位の彫りと摺りが圧巻。
全盛期にはこれを彫るために、多くの彫師が腕を競っていたと思うだけでも、なんという平和かと思う。
春画の無限の美しさと独自性、そしてしなやかな多幸感を堪能しながら、
日本に生きる私たちは、その後150年で多くのものを失ってしまったことも、感じ入る。
■橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)
この映画はまさに「春画の教科書」。
知っているようで知らない、「浮世絵の最高峰」と呼ばれる春画の
奥深い世界を、様々な角度から堪能していただきたい。
■橋本麻里(ライター・エディター・甘橘山美術館開館準備室室長)
一流の絵師、彫師、摺師たちの技術の限界を春画に注ぎ込み、浮世絵技術が発展した様は、まるでF1マシンのために開発された究極の技術を大衆車に落としこむ図式とよく似ている。
春画は浮世絵におけるF1なのだ。
■山本ゆかり(日本美術史研究者)
人にとって性とは何か-『春の画』は春画の森に分け入ることで、その輪郭を照らし出す。
春画は娯楽であり、お笑いであり、性への祝福であった。しかし文明開化にそぐわないと禁止される。
時代に封印された闊達な感性を、多彩な作品とインタビューで現代に甦らせ、映像という新しいかたちで魅せてくれる。
『春の画 SHUNGA』は11月24より全国公開。
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