9月下旬、イギリスの衛星放送局スカイの買い手を決める入札が行われ、コムキャストが21世紀フォックスに競り勝った。コムキャストは1株あたり17.28ポンドを提示した一方、フォックスは15.67ポンドだった。全体の評価額は306億ポンド(約4.5兆円)にのぼる。
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スカイの筆頭株主はフォックスで39%を所有。スカイはフォックスのコンテンツ事業の1つで、ウォルト・ディズニーが買収で合意した中に含まれている。フォックスではスカイの完全子会社化を目指し、ディズニーの後押しを受けて入札に参加したが、コムキャストがスカイをディズニー=フォックス連合から奪い去った。
17年末、ディズニーは21世紀フォックスのコンテンツ事業(映画やテレビ製作、ケーブルテレビ、英衛星放送局スカイなど)を買収することで合意した。だが、18年6月中旬にコムキャストがフォックスに買収を提案。争奪戦を繰り広げた。結果、ディズニーが勝利したが、今回はコムキャストが一矢報いた格好だ。
コムキャストはアメリカ最大のケーブルテレビで、3大ネットワークのNBCや映画大手ユニバーサル・ピクチャーズを傘下に持つ。海外収入は全体の1割に満たないが、スカイの買収で世界有数のメディア企業に踊り出る。スカイはイギリスをはじめ、アイルランド、ドイツ、オーストリア、イタリアで衛星放送事業を展開し、契約者数は合わせて2300万人にのぼる。動画配信大手のネットフリックスが世界中で事業を拡大する中、コムキャストは世界で戦う基盤が整った。
ネットフリックスの台頭が、ディズニーよる21世紀フォックス買収を誘発したが、さらにコムキャストのスカイ買収も引き起こした。ハリウッドの買収合戦は今後も続きそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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