ヤカラ男と天使の同居生活を描く『ワンルームエンジェル』
上杉柊平と西村拓哉(Lil かんさい)がW主演を務めるドラマ『ワンルームエンジェル』を紹介しよう。2023年秋クールに「ドラマシャワー」枠で放送され、原作は、はらだが手掛ける、「このマンガがすごい!」2020オンナ編13位受賞ほか、数々の賞を受賞している話題のコミック。はらだは『ハッピークソライフ』や『にいちゃん』など、いろんな意味で攻めた作品を多く発表しているが、この『ワンルームエンジェル』は優しい気持ちになり、ピュアな涙が止まらなくなる感動作だ。
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主人公は趣味なし、友人なし、恋人なし、生きる価値もなしと思っている、投げやりで惰性的な毎日を送るコンビニ店員の幸紀。チンピラに絡まれて刺され、瀕死になったとき、遠のく意識のなかで純白の羽の美しい“天使”を見る。死を覚悟したもののすっかり完治して帰宅すると、部屋にはあの天使が居た。天使とは思えないふてぶてしい態度に幸紀は唖然とするが、記憶もなく飛べない天使を不憫に思い、泊めてやることに。かくしてヤカラ男と天使の奇妙な同居生活が始まるのだった。
雪のシーンを海辺に変更、実写化として見事な演出
幸紀を『幽☆遊☆白書』に出演している上杉が、天使を昨年末に発表された「ViVi」の“2023年下半期 国宝級イケメンランキング”「NEXT部門」で1位に輝いた西村が、それぞれ好演している。幸紀は碌でもない人生を生きてきた品のないヤカラ男だが、根底には優しさと思いやりを持った男であることが伝わってきてホッとさせられる。天使もまた人を思う心を持っており、彼が抱える傷は切なくて胸が詰まる。彼らがお互いの心に寄り添うようすには胸が熱くなり、涙が込み上げてくるだろう。
そして、クライマックスにはこれぞメリバのお手本というシーンが用意されていて、涙腺崩壊となってしまう。原作では純白の雪のシーンだが、ドラマでは海辺に変更。解放的に広がる海が清々しいまでの切なさを際立たせて、実写化として見ごとな演出になっている。しばらく放心してしまうほどの滝涙となること必至だから、翌日のまぶたの腫れも気にしなくて済むお正月休みに見ることをおすすめしたい。
ポップアップストア大阪開催も! 原作の電子版特典も見逃せない
また、ポップアップストアの【『ワンルームエンジェル』ドラマ&原作 ポップアップストア at マンガ展】の大阪開催が2024年1月5日(金)~2月4日(日)にあるので、可能な方は覗いてみてはいかがだろう。東京開催ではドラマとコミックス融合していて見応えがあり、コラボメニューも細部までこだわりが感じられた。
さらに、原作コミックスの電子版の特典に、ドラマにもある心救われるラストシーンのネームがあるので、ぜひ見てみてほしい。幸紀の一人称目線のラストシーンは幸紀が何をしゃべっているかわからないが、そのときの幸紀のセリフが入っている。いっぱい泣いたあとにほっこりと癒やされるはずだ。ちなみに『ワンルームエンジェル』のプロトタイプ的な短編『止まり木』ははらだのコミックス『変愛』に収録されているので、興味ある方はチェックを。表題作『変愛』も面白く、バラエティ豊かな短編集となっている。(文:牧島史佳/BLライター)
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