『ボヘミアン・ラプソディ』が最多4部門、作品賞は『グリーンブック』/第91回アカデミー賞受賞結果

#アカデミー賞

『グリーンブック』
3月1日より公開
(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
『グリーンブック』
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『グリーンブック』
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『女王陛下のお気に入り』
公開中
(C)2018 Twentieth Century Fox

第91回アカデミー賞授賞式が24日(現地時間)にロサンゼルスのドルビーシアターで開催され、『ボヘミアン・ラプソディ』が最多4部門を受賞した。

『ボヘミアン・ラプソディ』のアカデミー賞ノミネート数5部門に止まった4つの理由

作品賞は『グリーンブック』が受賞。ニック・ヴァレロンガが自分の父親と天才ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリーの交流の実話を脚本化した作品で、ブライアン・カリーとピーター・ファレリー監督とともに脚色賞を受賞、ドクター・ドナルド・シャーリーを演じたマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。

『グリーンブック』は人種差別が色濃く残っていた1962年、アメリカの南部に演奏旅行に出たアフリカ系ピアニストと用心棒兼運転手のイタリア系男性のロードムービー。教養豊かで繊細な芸術家と粗野だが気のいい男が、旅を通じて友情を深めていく物語について、プロデューサーのジム・バークは「私たちは愛を込めてこの映画を作りました。優しさと尊敬を込めて作りました」とコメント。ファレリー監督は「それぞれの違いを超えて、お互いを大切にすること、自分たちが何者なのかを見つけることについて描きました。私たちはみな、同じ人間なんです」とスピーチ。「受賞した賞は全てヴィゴとマハーシャラ、(劇中でヴィゴの妻役を演じた)リンダ(・カーデリニ)のおかげです。何より、ヴィゴから始まったんです」と主演男優を称えた。

『ボヘミアン・ラプソディ』は主演男優賞、編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞、『ROMA/ローマ』(監督賞、撮影賞、外国語映画賞)、『ブラックパンサー』と(美術賞、衣装デザイン賞、作曲賞)続いた。

日本からノミネートされた『万引き家族』(外国語映画賞)、『未来のミライ』(長編アニメ映画賞)は残念ながら受賞を逃した。

今年は司会者なしの授賞式となり、どんな進行になるのかが注目されていたが、オープニングを飾ったのはクイーン+アダム・ランバートのパフォーマンス。「ウィ・ウィル・ロック・ユー」で幕が上がるや会場は総立ち。候補者たちも一緒に歌い、『ボヘミアン・ラプソディ』のワンシーンが再現されたようだった。「ウィー・アー・ザ・チャンピンズ」では会場のあちこちでウェーブも起き、アダムが「Welcome to the Oscars!」と叫んで始まったこの日最初のスタンディングオベーションを受けた。

伝説的なパフォーマー、クイーンのフレディ・マーキュリーを演じて主演男優賞を受賞したラミ・マレックは「僕が最も適役ではなかったかもしれないけど、どうやらうまくいったみたいです」と謙虚なコメント。「僕はエジプトからの移民の子どもです。僕の人生の一部が描かれているんです」とフレディの生い立ちと自分を重ねたラミは、共演がきっかけで交際が始まり、客席から見守っていたルーシー・ボーイトンに向かって「君はこの映画のハートです」「僕のハートもつかんだ」と熱烈に語った。

主演女優賞は、大本命のグレン・クロースを破って『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンが受賞。オスカー像を手にしながら「すごいストレスだわ」と呟き、緊張のあまり笑い出してしまった。グレン・クロースに「あなたはずっと私のアイドルでした。こうなってほしくなかったんだけど」と受賞結果にふれながら「あなたは素晴らしい。大好きです」と語りかけた。どうやらスピーチを用意していなかったようで、思いつくまま話していたオリヴィアは「まいてくださいって言われたわ」とスタッフからの合図を受けて、グダグダのまま時間切れを迎えたが、人柄が表れたスピーチにスタンディング・オベーションが贈られた。

外国語映画賞ではプレゼンターのハビエル・バルデムは英語ではなく、母国語のスペイン語でスピーチし、アンジェラ・バセットとともに受賞作を発表。

『ROMA/ローマ』のキュアロン監督は『ゴッドファーザー』『羅生門』『勝手にしやがれ』など、様々な国で作られた映画に育てられたと語った。キュアロン監督はその後も2部門受賞で3度も登壇してスピーチした。

長いキャリアの中でついに脚色賞で初オスカー受賞を果たしたスパイク・リーは、プレゼンターだったサミュエル・L・ジャクソンと抱き合って大喜び。スピーチでは2020年の大統領選挙にふれて、「愛と憎しみの間で道徳的な選択をしてください。正しいことをしよう(Let’s do the right thing)!」と訴えかけた。

受賞の行方を占うと言われる前哨戦の各組合賞の結果が割れに割れた今年の賞レース。ネット配信作にして最多ノミネート作という初めてづくしの最有力作『ROMA/ローマ』が何部門受賞するかが注目されたが、監督賞や撮影賞、外国映画賞を獲りながら、作品賞には及ばなかった。

受賞結果は以下の通り。

【作品賞】 『グリーンブック』

【監督賞】アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)

【主演男優賞】ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』)

【主演女優賞】オリヴィア・コールマン(『女王陛下のお気に入り』)

【助演男優賞】マハーシャラ・アリ(『グリーンブック』)

【助演女優賞】レジーナ・キング(『ビール・ストリートの恋人たち』)

【長編アニメ映画賞】『スパイダーマン:スパイダーバース』

【外国語映画賞】『ROMA/ローマ』(メキシコ)

【オリジナル脚本賞】ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー(『グリーンブック』)

【脚色賞】チャーリー・ワクテル、デヴィッド・ラビノウィッツ、ケヴィン・ウィルモット、スパイク・リー(『ブラック・クランズマン』)

【撮影賞】アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)

【編集賞】ジョン・オットマン(『ボヘミアン・ラプソディ』)

【美術賞】ハンナ・ビークラー、ジェイ・ハート(『ブラックパンサー』)

【衣装デザイン賞】 ルース・カーター(『ブラックパンサー』)

【メイク&ヘアスタイリング賞】グレッグ・キャノン、ケイト・ビスコー、パトリシア・デヘイニー(『バイス』)

【作曲賞】ルドウィグ・ゴランソン(『ブラックパンサー』)

【歌曲賞】Shallow(『アリー/スター誕生』)

【録音賞】ポール・マッシー、ティム・キャヴァジン、ジョン・カザリ(『ボヘミアン・ラプソディ』)

【音響編集賞】ジョン・ワーハースト、ニナ・ハートストーン(『ボヘミアン・ラプソディ』)

【視覚効果賞】 ポール・ランバート、イアン・ハンター、トリスタン・マイルズ、J・D・シュヴァルム(『ファースト・マン』)

【長編ドキュメンタリー賞】『Free Solo(原題)』

【短編ドキュメンタリー賞】『ピリオド 羽ばたく女性たち』

【短編アニメーション賞】『Bao』

【短編実写映画賞】『SKIN(原題)』

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