半裸で籐椅子に座る淫婦に色めき立った記憶が蘇る!エロいのにお洒落なあの名画を見る
半裸で籐椅子に座った『エマニエル夫人』の復刻に色めき立つ
時代を経てなお語り継がれる「あのエロい映画」。一体何がそんなにすごいのか。一体どのくらいエロイのか。女性目線で紐解いてみるのも一興だろう。今回は、昨年12月に日本公開50周年を記念して4Kレストア版が劇場公開された『エマニエル夫人』を取り上げたい。
・セクシーボディで勘違い男から大金を巻き上げろ! 中高年男性から嫌われた痛快作
4Kレストア版の劇場公開が始まった時、1974年当時に本作をリアルタイムで見た世代から、日曜洋画劇場で親に隠れてコッソリ盗み見した世代までがにわかに色めき立った(と思われる)。作品を見たことがなくても、「あの半裸で籐椅子に座ったポスタービジュアルのエロい映画が復刻!」と思った人は少なくないのではないか。
少女はキャンディーをしゃぶりながら夫人に近づき…
とにかく、裸とセックスシーンのオンパレードである。誰もかれもが「隙あらば」といった風で虎視眈々とそのチャンスを狙っていて、「これは」と思ったターゲットをみつけると狩猟モードに入る。少女がキャンディーをしゃぶる姿さえいやらしい。
しかもこの少女マリー・アンジュは、キャンディーをしゃぶっていると「大人が興奮する」ことを知っていてわざとやっているほどのマセっぷりだ。完全に10代と思しきマリー・アンジュは、プールで全裸で泳ぐエマニエルを見かけて一瞬で秘められた「淫婦の素質」を見抜いたのか、年上の人妻エマニエルに「性の欲望の解放」を説くべく自宅に訪ねて来る強者である。お洒落なデッキに通されてハンギングチェアに腰を下ろすや否や、Tシャツを脱いでトップレスになる。手近にあった雑誌を手に取りその中にポール・ニューマンのグラビアを見つけると、エマニエルのことなどお構いなしに股間に手を伸ばしてオナニーを始め恍惚の表情を浮かべる。そして、「自分でするのが好き。あなたはどう?」とエマニエルに問うのである。そんなマリー・アンジュに導かれるように、エマニエルは飛行機の中での見知らぬ2人の男とのセックスを回想し、自らも股間に手を這わせて快楽の沼へと堕ちていく。
機上では見知らぬ男と、スカッシュをすれば同性と、情事に勤しむ夫人
この映画では、場所がどこであろうと相手が男だろうと女だろうと、すぐにコトが始まる。前述の機上でのセックスもそうだ。パリから夫の赴任先であるバンコクに向かう機内で人肌恋しくなったのか、ミニスカートから覗く美脚をもぞもぞさせて思わせぶりに乗客の男に秋波を送るエマニエル。「据え膳食わぬは男の恥」とばかりに撒かれた餌に飛びついた男は、エマニエルのもとにやってきてキスをする。そして胸をはだけると、乳房に唇を這わせながら股間に手を伸ばしてパンティーを脱がせ、座席で堂々と行為を始めるのだ。そんな気配と隠し切れぬ喘ぎ声に気付いた男が、「次は俺の番」とばかりに、一戦を交えて眠り込んでいるエマニエルを抱きかかえてトイレに連れ込む。エマニエルは決して拒絶しない。むしろ喜んで男に身を任せ、機上での情事を楽しむのであった。
そしてこの映画に出てくる女たちは、突然の情事を想定しているかのように誰もかれもがノーブラ・ノーパンである。スカッシュコートでスカッシュに興じるエマニエルと友人アリアンヌのユニフォーム(ポロシャツ)には、乳首がうっすら透けている。襟元のボタンも全開で、脱ぐ気&脱がせる気満々としか思えない。だから、アリアンヌが休憩中にエマニエルの汗をタオルで拭いながらポロシャツをめくりあげて乳房が露わになっても、一向に驚かない。アリアンヌがエマニエルの乳首を口に含んで愛撫を始めると、エマニエルはすぐさま恍惚の表情を浮かべる。乳房に添えられていた手が次第に下へと伸びてスカートの中に滑り込み“手仕事”を始めると、彼女はさらなる快感に思わず身を捩るのであった。スカッシュコートでの女同士の情事である。
フランスから来た“お洒落なポルノ”が女性たちを魅了
…とこんな調子で、本作に出てくるセックスシーンは枚挙にいとまがない。だが、このフランス映画が日本初公開時に多くの女性たちから「低俗なポルノ」と一蹴されず絶大な支持を得た理由は、全編に漂う何とも言えない小洒落感と映像の美しさだろう。これは、監督のジュスト・ジャカンがもともとは「VOGUE」などで活躍したファッションフォトグラファーであった点が大きく寄与していると思われる。エロいけれどお洒落。エロいけれどキレイ。主演のシルヴィア・クリステルも元々はモデルだけあってスタイルは抜群。彼女の裸には、女性をも魅了するエロさを超えた美しさがある。
恐るべし、あの人物
物語の後半で、エマニエルは地元で「性の伝道師」的立ち位置で一目置かれているラスボス感たっぷりの老人マリオに連れられてセックス修行行脚に出かける。この男を紹介してエマニエルにセックス修行を勧めたのも前述のマリー・アンジュなのだから、彼女には全く恐れ入る。出番こそ少ないものの、影の主役であり登場人物の中で一番性に奔放でエロいのは彼女という気がしてならない。(文:春蘭/ライター)
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