この世に思いを残して亡くなった死者たちの人生模様を描いた映画『パレード』。Netflix配信中の本作の試写会イベントが行われ、長澤まさみ、坂口健太郎、森七菜、藤井道人監督が登壇した。
長澤まさみが一番会いたい人は?
イベントで長澤は「撮影中はどういう風に人に届くんだろうってわからなかったところがあったんですが、皆さんの感想を聞いて、人の心にこんなにも届く映画なんだっていうのを私が教えてもらったように思います」とコメントした。
視聴者から「大切な人を思い出す、あたたかな気持ちになる作品」「愛に溢れた優しい作品」「嗚咽するほど泣いた」といった感想が寄せられているが、坂口は「最初に台本を読んだ時から、この映画は現実とその先の間の話なんですけど、そこで生きている人たちは本当に呼吸をしているし、確かに存在しているなっていうのを感じた。別れを経験していない人っていないと思うんです。もう会えなくなってしまった人、その人たちの話なんです。だからこそこの作品は救いの話だなっていうのは思いました。自分の中で心にぽっかり空いてしまったものを、この作品によって、満たしてくれるような、そんな感覚をすごく持ってます」と語った。
森は「3月になり出会いと別れの時期なんじゃないかなと思う。この作品を見た後に、出会いや別れは恐ろしいものだけど、悲しいものだけじゃない。本作の主要登場人物7人のうち、誰かしらに投影して見てくれてるんだなと思う」と作品を紹介。
また、藤井監督作品初参加となった長澤は「念願だった。藤井監督の作品に出演することは大変だろうなと思って覚悟していたんですが、やっぱり大変で、本当にこだわる監督だと思います。それくらい、作品に対しての思い入れが誰よりも強いんだなっていうのを現場で感じました。とにかく監督が言うことを理解しようと必死になるがあまり、多分監督もちょっとこいつめんどくせえなって思うところもあったんだろうな(笑)と思いつつ、魂でぶつかり合えた感じがあったんです。それがもう本当に、楽しかったし、また監督と一緒に仕事ができるなら、もうなんでもやります」。
長澤の熱い思いを受けた藤井監督は「僕自身もいつかご一緒したいっていうのが夢だった。僕は監督が全部の責任を負うべきで、失敗したら監督のせいと思っていて、観客の人たちに絶対損はさせたくないという思いで映画を作っているんですが、長澤さんもまったく同じ気持ちで人一倍作品のことを理解してみんなを引っ張ってくれようとした。本当に僕と同じ、もしくはそれ以上に映画のことを考えてくれて、自分にとって財産になる時間でした」と、振り返った。
『余命10年』に続いての藤井監督作品となった坂口。彼は元小説家志望の青年アキラを演じたが「アキラは僕でもあり、監督のかけらのようなものでもありつつ、男友だちみたいな不思議な感覚。アキラってこういう時どうするかな? あいつならどうすると思う? みたいな感じでいつも監督と話をすることが多かった」と吐露。2回目となる長澤との共演については「(長澤が演じた役)美奈子としても座長としても、ちゃんとそこに確かに存在してくれる感覚。それはすごく頼もしいなと思ったし、作品のことを第一にちゃんと考えてくれてる。周りが頑張ろうって思わせてくれる瞬間はたくさんありました」と語った。
作品のテーマにちなんで今一番会いたいと思う人を聞かれた長澤は「祖父たちです。いつも見守ってくれてる感じはずっとあるんですけど、もし今会えたらどんな会話ができるんだろうって。大人になったら今私は何を喋りたいんだろう、何を喋るんだろうっていうのが気になっていますね」と答えた。
RADWIMPSの野田洋次郎が主題歌「なみしぐさ」を書き下ろしたことも話題となっているが、「音楽は物語や感情を盛り上げてくれる。 今回この楽曲を聞かせていただいた時に、残された人たち、残してしまった人たちの心に寄り添った暖かくなるような曲だなという印象がありました」と長澤。坂口は「今回は7人の主要登場人物がいて、もう一色彩りを添えてくれるような、そんな楽曲だなと思いました」と語った。
最後に長澤は「配信ですので、いろんな登場人物に寄り添って、 今回はこの人の目線で見てみよう、次はこの人の目線で見てみようと楽しんでもらえたらなと思います」とアピール。坂口は「この作品は決して悲しい物語ではないし、現在生きている人たちとその先の人との間の話で、そこにはちゃんと息遣いもあって、呼吸もしていて、存在している彼らがいたと思っています。何度も見ていただいて、この作品をより大きくしていただければ嬉しいです」。森は「別れとか悲しみに暮れるだけじゃ苦しいっていう人は、きっと新たな選択肢をもらえる映画になっていると思うので、ぜひこの映画が皆さんの手助けになると思います」と挨拶。
監督は「自分自身が大切な人を亡くして、自分自身のためにスタートしたものかもしれないんですが、きっと同じように喪失を抱えた人もいるし、そんな僕らもその人たちが辛い思いをしてるんじゃなくて、どっかで楽しんでくれてればいいなという勝手な願いからこの映画は始まりました。 人生は悲しいことだけでできてるわけじゃない。前に進むためにきっと明るいものが多いと僕は信じてこの映画を作りました。たくさんの人の声でこのパレードがずっと続くように僕も願っております」と話した。
Netflix 映画『パレード』は、Netflixにて独占配信中。
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