(…前編「第1回目でトレンドワード入りした注目のBL系ドラマ、オジサンたちがかわいすぎる!」より続く)
【元ネタ比較】『きのう何食べた?』中編
本気を見せた制作陣とキャストたち
よしながふみ原作によるゲイカップルの日常を毎回料理シーンを盛り込んで描いた人気コミック、「きのう何食べた?」がドラマシリーズ化されてテレビ東京の「ドラマ24」枠で放送中だ。
リアルに感じる悲喜こもごもの人生に、読む方は親しみを感じて、彼らが本当に存在しているかのように感じさせてくれる。ファンとしては愛着があってリアルな内容だからこそ、実写化するなら丁寧に描いて欲しいと思うもの。それが今回は最初のビジュアル発表時からしてファンを納得させるものだった!
ジルベールとは元祖BLと言われる「風と木の詩」の登場人物から取られたあだ名で、主人公たちと交流を持つゲイカップルの片割れだ。どんな美少年かと思いきやトウのたった残念な青年で、言動だけ小悪魔でズケズケとものを言うクセものキャラ。
原作ファンの間では誰が演じるか予想キャスティングするなど注目が集まっていた。それがジルベールは磯村勇斗、相手役は山本耕史が演じると発表され、これまたイメージ通りなことにファンは歓喜した。
磯村は連続テレビ小説『ひよっこ』や大人気を博した『今日から俺は‼』などに出演する若手だが、西島、内野、山本らと肩を並べるとまだまだ知名度は低い。しかし、知名度よりもキャラのイメージに合うことを優先させたのであろうことがうかがえるキャスティングに、制作側の本気度が感じられて嬉しくなる。ジルベールだけでなく、メイン以外の脇キャラまで原作のイメージに合ったキャスティングだ。
なんといってもケンジが予想以上に良い! 内野聖陽はどちらかと言えば強面でハードボイルドなイメージがあり、ヘタレ攻めなケンジ役は合うのかなとも思ったが、物腰柔らかくて優しくて泣き虫なケンジを好演。それも、“ちょっとオネエが入ってるけどがっつりとオネエではなく“心は乙女”という微妙なラインをみごとに演じてくれた!
商店街で偶然シロさんを見つけてスキップで駆け寄ったり、シロさんにガツンと怒られてべそべそ泣いたり、本当にケンジが3次元に飛び出したかのよう! ああ、ケンジかわいい!と、オジサンなのにかわいいケンジに悶えてしまった。
このシーンでケンジが泣いたのは、美容院のお客さんにカレシ自慢したことがシロさんにバレて怒られたからだが、店長は家族のことを話すのにどうして俺だけ一緒に住んでる人にことを話しちゃいけないの?と泣くケンジにウルウルさせられてしまう。原作では泣いててもちょっとコミカルでサラッとしたシーンだが、実写でシリアス見せられると胸が熱くなる。
シロさんはシロさんで、怒って出てけと自分で言ったものの、本当にケンジに背を向けられるとたじろいで不安げな表情に。これも原作にはないカットだったが、ツンデレなシロさんを表すのにとてもいい演出だった。
シロさん役を演じる西島秀俊は料理シーンの説明が棒読みなもので西島秀俊ってこんなに大根だっけ?とちょっと不安に思ったが、エプロン姿もよく似合ってて、人目を気にするツンデレ美人を体現。原作とはちょっとだけ違う「俺はタチネコで言ったらネコってぐらい」という名ゼリフも言ってくれた。
まさか西島秀俊の口から“タチネコ”というパワーワードが放たれるのを聴ける日が来るとは! これは原作では“ネコ”だけだが、分かりやすいように“タチネコ”という言葉を入れたのだろう。原作に忠実でありつつ、ちょっとだけアレンジを加えて、それが全部いい方向に作用している。
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