平成を迎える89年以前、米国のアニメ映画といえばウォルト・ディズニーが中心だった。ディズニーアニメは80年代に低迷していたが、89年の『リトル・マーメイド』の大ヒットで息を吹き返す。91年『美女と野獣』、92年『アラジン』と連続大ヒットを記録し、94年『ライオン・キング』で人気のピークを迎える。興収4億2300万ドルをあげ、アニメ映画史上歴代最高を記録したのだ。その後、95年『ポカホンタス』、96年『ノートルダムの鐘』、97年『ヘラクレス』、98年『ムーラン』、99年『ターザン』と続くが、『ターザン』の1億7000万ドルを最高に、興収が1億ドル台で伸び悩む。
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さらに2000年代に入ると低迷の時期を迎える。01年『アトランティス/失われた王国』(8400万ドル)、02年『トレジャー・プラネット』(3800万ドル)では従来のディズニーミュージカルアニメと異なり、青年を主人公にした冒険ドラマを製作したが、興収は1億ドルに届かず伸び悩んだ。
ピクサー同様、勢いがあったのがドリームワークスだ。01年の『シュレック』は当時、『ライオン・キング』に次いでアニメ映画史上歴代2位の興行成績を記録。04年の『シュレック2』は『ライオン・キング』を抜いて歴代新記録を樹立する。
一方、低迷していたディズニーは大胆な策に出る。06年のピクサーの買収だ。中心的クリエイターのジョン・ラセターを、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのクリエイティブ部門最高責任者も兼務させ、ディズニーアニメの立て直しに着手させる。
その成果が現れ始めたのが、10年『塔の上のラプンツェル』(2億100万ドル)と12年『シュガー・ラッシュ』(1億8900万ドル)だ。そして13年『アナと雪の女王』(4億100万ドル)で再びディズニーは黄金時代へと突入。以降、『ベイマックス』『ズートピア』『モアナと伝説の海』『シュガー・ラッシュ:オンライン』と連続ヒットを記録している。
ピクサーは『トイ・ストーリー3』など続編が多いものの、好調を維持。一方、ドリームワークスは10年代に入り失速。00年代、『シュレック』の「おとぎ話のパロディ」に代表される、ディズニーとは真逆のおふざけ満載の笑いが受けたが、続編が多く飽きられてきているようだ。16年にはコムキャストに買収され、立て直しの真っ最中だ。20世紀フォックスも10年代に入り、『アイス・エイジ』シリーズに代わるヒット作が生まれていない。
ドリームワークスや20世紀フォクスと入れ替わるように10年代に人気を集めているのがイルミネーションだ。1作目『怪盗グルーの月泥棒 3D』(10年)以降、『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13年)、『ミニオンズ』(15年)、『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17年)が大ヒット。『怪盗グルー』シリーズ以外でも、『ペット』『SING/シング』が大ヒットし、続編製作も決まっている。(文:相良智弘/フリーライター)
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相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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