夏の話題作を製作した注目の製作会社3社を解説する。
1社目はヘイデイ・フィルムズで、クエンティン・タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(8月30日公開)を製作した。タランティーノ作品はハーベイ・ワインスタインが率いるミラマックスとワインスタイン・カンパニーが長く製作してきたが、彼がセクハラ問題で訴えられて活動休止状態になった。
代わってヘイデイ・フィルムズとソニー・ピクチャーズなどが製作にあたった。ヘイデイはプロデューサーのデビッド・ヘイマンの製作会社で、これまでに『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズを手がけ、『パディントン』も製作している。
2社目はマーブ・フィルムズで、エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』(8月23日公開)を製作した。監督・プロデューサーのマシュー・ボーンの製作会社で、これまでに『キックアス』『キングスマン』シリーズを手がけ、20年には『キングスマン』の新作が控える。『ロケットマン』の監督デクスター・フレッチャーの前作『イーグル・ジャンプ』(15年)もマーブ・フィルムズが製作にあたっており、フレッチャー監督とのつながりから本作も製作にあたったようだ。
3社目はワーキング・タイトルで、ダニー・ボイル監督新作『イエスタデイ』(イギリスで6月28日より公開、日本では10月11日より公開)を製作した。
本作は、ザ・ビートルズが存在しない世界を舞台に、シンガーソングライターが彼らの楽曲で有名になるコメディドラマだ。ワーキング・タイトルはプロデューサーのティム・ビーバンとエリック・フェルナーが共同で所有。同社の活動は古く、これまでに『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85年)、『フォー・ウェディング』(94年)、『ノッティングヒルの恋人』(99年)、『ブリジット・ジョーンズの日記』(01年)などウェルメイドなラブストーリーや感動ドラマを数多く製作。世界中でイギリス映画ブームを巻き起こし、ダニエル・デイ=ルイス、ヒュー・グラント、コリン・ファースらイギリス発のスターも生み出してきた。
近年では『レ・ミゼラブル』(12年)、『博士と彼女のセオリー』(14年)、『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(17年)とアカデミー賞作品賞候補作を製作したり、『ベイビー・ドライバー』(17年)などを手掛けている。
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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