14歳の少年が干ばつの村を救う姿を、実話をもとに映画化した『風をつかまえた少年』。『それでも夜は明ける』(13年)でアカデミー賞主演男優賞に輝いたキウェテル・イジョフォーが初監督に挑んだことも話題のこの作品の試写会が7月11日にユニセフハウスで行われ、上映後に行われたトークイベントに、本作のモデルとなったウィリアム・カムクワンバ(31歳)と、鈴木福が登場した。
『風をつかまえた少年』は、2010年に日本でも出版されたノンフィクションの映画化。2001年、干ばつによる貧困で中学を退学になった14歳の少年が、当時人口のわずか2%しか電気を使うことができなかったアフリカの最貧国の1つマラウイで、自分の頭脳と手だけを頼りに発電に成功。家族と村の人々を救うだけでなく、自身も大学へと進学し、2013年にタイム誌の「世界を変える30人」に選ばれるという素晴らしい人生も手に入れた実話に基づく感動作だ。
来日したのは、当時14歳で電気と未来を手に入れたカムクワンバ。「みなさまに映画をご覧いただき大変光栄です。今回の来日では多くの方にお会いしたり、おいしい日本食を楽しんだりしています。ありがとうございます」と挨拶すると、鈴木は「この映画を見て、こうやって飢餓に苦しみながらも、自分の地元マラウイを守りたいという気持ちから、みんなが協力すれば何でもできるんだなと驚いています。本当に感動して、とても尊敬しています」と、映画の感想と対面の喜びを伝えた。
鈴木は現在中学3年生で、6月7日に15歳の誕生日を迎えたばかり。映画の主人公である当時のカムクワンバと同世代だ。「日本にいると、学校に当たり前に行けて、たまに『学校イヤだなぁ』と思う時もあります。そういう中で、世界には同い年くらいの子で『学校に行きたい』『学びたい』という人がいて、こうやって世界を変えられる。僕とほぼ変わらない年齢の人でもそういうことができるんだと思うと、本当にすごいな、カッコイイなと思います」と感銘を受けた様子で、「僕らの世代にこそ、ぜひ見て欲しい。これが実話ってことが本当に信じられないくらいに、驚きと感動がある映画」と絶賛。
さらに鈴木はカムクワンバに「今まで生きてきた中で一番大変だったことはなんですか?」と質問。これにカムクワンバは「まさに映画で描かれている時期ですね。でも、誰かがやってきて、問題を解決してくれるのを待つのではなく、自分の問題に対して自らが長期的な解決法を見つけたいという気持ちで、希望を持つことができたんです」と答えた。
また、風車を作るにあたって一番困難だったことについては「材料探し。お金がなかったし、手にした本にも何が必要な材料が描かれていなかったので、イマジネーションを駆使して見つけられるガラクタや廃品を集めてきた」と回答。また、「多くの人が『あいつは頭が変になったんじゃないか』と言ったり、僕のやろうとしていることが全く理解できなかったりという中で作っていった。そもそも、現地のチェワ語には『風車』という言葉が存在していなかったんです。誰も風車を見たことがなかったし」と当時の困難な状況について明かすと、鈴木は「最後に風車が完成して、みんなで喜ぶシーンは心からホッとしました。胸がギュッと締め付けられるようなシーンもたくさんある中で、見ている方も嬉しくなるようなシーンで、一番印象に残っています」と感動したことを伝えた。
『風をつかまえた少年』は8月2日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開となる。
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