実名告発をした俳優は「サバイバーの1人として、失望を通り越した思い」
長年に及ぶ性加害で有罪判決を受けた映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの2020年のレイプ有罪判決が、ニューヨーク控訴裁判所によって覆された。
・公表しなければ被害者は増え続ける──ワインスタイン性的暴行事件を告発した女性記者たちの使命感
同裁判所は25日(現地時間)、ニューヨーク郡での裁判で罪状には含まれていない申し立てについて女性たちの証言を認めるなど、不適切な裁定でワインスタインに不利益を与えたとし、再審を命じた。
2017年から始まった#MeToo運動の引き金となったワインスタンの性加害は、部下や彼の製作した映画の出演者、俳優志望やモデルなどの女性たちに対して行われ、2017年10月に複数の女性が実名でワインスタインを告発する記事が発表された。
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ワインスタインは裁判で実刑判決を受け、ニューヨーク州ローマにある警備レベルが中程度の刑務所「モホーク矯正施設」で23年の刑で服役中だ。2022年にロサンゼルスでも強姦罪で有罪判決を受けて16年の禁固刑を言い渡されており、収監はこのまま続くが、今回の判決により新たな裁判が行われることになる。
ワインスタインのスポークスパーソン、ジュダ・エンゲルマイヤー氏は映画サイト「Deadline」に判決が下された直後に「私たちは慎重に喜んでいます」「ロサンゼルスの件があり、彼にはまだ長い道のりが残っています」とコメントした。
ワインスタインの被害者8人の代理人を務めたダグラス・H・ウィグダー氏は、今回の判決を「大きな後退」であり、「評決を覆すことは、被害者たちがまた新たな裁判に耐えなければならなくなるという点で悲劇的です」と語った。
2017年に実名告発を行った俳優のロザンナ・アークエットは業界誌「The Hollywood Reporter」に「ハーヴェイは正当に有罪判決を受けました。裁判所が彼の有罪判決を覆したことは残念です。サバイバーの1人として、失望を通り越した思いです」と今回の決定について語った。
同じく実名で告発した俳優の1人、キャサリン・ケンドールは「ご存知のように、権力者に立ち向かう性的暴行の被害者が我が国の司法制度を通じて正義を得ることは滅多にありません。 これは変えなければなりません 被害者は沈黙を破り続ける必要があり、私たちの文化は彼らを信じ、支援し続ける必要があります」「ハーヴェイ・ワインスタインがどこへ行こうが、彼の名前はあらゆる場所で性犯罪者の同義語となるでしょう。彼は死ぬまで自身の作った刑務所で生きることになるでしょう」と訴え、「今回の判決や他の裁判所の判決に関係なく、私は誇りを持って#MeToo運動の支持を続けます」と強調した。
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