俳優オダギリジョーの長編初監督作品となる『ある船頭の話』の完成披露舞台挨拶が8月21日にスペースFS汐留で行われ、オダギリをはじめ、主演の柄本明、ヒロインを演じた川島鈴遥(りりか)、村上虹郎が登壇した。
本作は、明治と大正の狭間、文明の波がひたひたと押し寄せ、時代の移り変わりに直面した山あいの村を舞台に、「本当に人間らしい生き方とは何か」を世に問う問題作。近代産業化とともに橋の建設が進む村で、船頭の仕事を続けるトイチは、村人たちが橋の完成を心待ちにする中、黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんな折、トイチの前に1人の少女が現れる。そして、何も語らず身寄りもない少女と一緒に暮らし始めたことで、トイチの人生は大きく狂い始める。
オダギリ監督は「普段は俳優として舞台挨拶に立つことが多いので、今日は初めて監督として、こういう経験をし、いつもより何倍も緊張しています」と挨拶。「内容を話してもしょうがないので、まずは見ていただいて、家に帰りましたら、親戚・知人のみなさまに宣伝していただきたいと思います」と続けた。
船頭のトイチ役を演じた柄本は、とにかく撮影が苛酷だったそうで、「夏の撮影は、ちょうど去年の今頃、7〜8月の約40日。その後、今年1月に10日間くらい冬の撮影がありました。夏の撮影は本当に苛酷で。僕は船をこいだりするんですけど、朝から晩まで大変でした」と振り返ると、「主人公だからずっと出ていますよね」という司会の問いかけには、我が意を得たりとばかり「そうなんですよ」と回答。「毎日毎日、なんでこんなに疲れるんだろうと思って、改めて台本を読んだら、ほとんど全シーンに出てるんですよ。とにかく暑いし、逃げ場所がないし、大変な撮影でした」と話していた。
また、オダギリ監督はキャスティングについて「ちゃんと事務所を通したと思います」と冗談交じりに語ると、「僕自身、俳優をやっているから、もちろん、同業者の中でも好きな方、嫌いな方、いろいろいるんですけど、好きな人に声をかけましたね」と話していた。
『ある船頭の話』は9月13日より新宿武蔵野館ほかにて全国公開となる。
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