俳優オダギリジョーの長編初監督作品『ある船頭の話』が、第76回ヴェネチア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門に選出され、9月5日に行われた公式上映に柄本明、村上虹郎、オダギリジョー監督が出席した。
・オダギリジョー長編初監督作品『ある船頭の話』ヴェネチア国際映画祭、その他の写真
上映会場となるSala Perlaには多数のカメラが集結し、約500席のチケットも完売。過去4本の出演作が同映画祭に出品され、今年は監督(『ある船頭の話』)と俳優(『サタデー・フィクション』)の2作品での参加となったオダギリジョー。
公式上映前、日本人メディア向けに行われた会見で、同映画祭に招待されたことについて聞かれたオダギリ監督は「俳優として何度か参加した思い入れのある映画祭だったので、とても光栄です」と回答。主演の柄本は「監督に船頭という役で選んでもらえて、ヴェネチアに来られたことを大変光栄に思います」と語った。
公式上映には、オダギリ監督、柄本、村上が参加し、エンドロールから約5分間の鳴りやまないスタンディングオベーションに応えた。また、上映後に行われたQ&Aでは、脚本段階での構想について聞かれたオダギリ監督が「最初、僕が船頭の主人公トイチを演じるつもりで書いていて、突然、現れる少女が大人に変わっていく過程を、親子のような仲で紡いでいくドラマをイメージしていたのですが、柄本さんにお願いすることになり、関係性を書き直しました。結果的に、柄本さんがキャラクターにより深みを与えてくれ、素晴らしい高みに持っていってくれた」と自信を覗かせた。
また、諸行無常を表す英題『They Say Nothing Stays the Same』に関し、『“すべてのものは変わってしまう“というタイトルだが、船頭は何も変わらなかったのではないか?』という質問も。これにオダギリ監督は、「船頭は(この先もずっと)舟に乗り続けるし、そのまま変わらないものも確かにある。そう受け取ってもらえたことは嬉しいし、そういう色んな見方をしてもらえる映画であってほしいと思っていたのでありがたいです」と映画に込めた思いを口にした。
そして、ワールドプレミアとなった公式上映について、オダギリ監督は「(上映の途中で)出て行ってしまう人もいるのではないかと心配しましたが、あれだけ長い時間拍手をいただいて、みなさんに満足してもらえたように見えたので本当に嬉しかったです」と喜びのコメント。
『ある船頭の話』は9月13日より新宿武蔵野館ほかにて全国公開となる。
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