木全「一見なよなよして頼りないように見えるけど、実はすごく優しくて頼りになる男」
乃木坂46・1期生・高山一実の小説家デビュー作をアニメ化した『トラペジウム』の公開記念舞台挨拶が、5月11日に新宿バルト9にて開催された。イベントには、原作者・高山をはじめ、東ゆう役の結川あさき、大河くるみ役の羊宮妃那、華鳥蘭子役の上田麗奈、亀井美嘉役の相川遥花ら東西南北が初集結、そして工藤真司役の木全翔也(JO1)、篠原正寛監督らが登壇した。
・JO1木全翔也、アニメ映画『トラペジウム』で演じたキャラクターは「人間的に近しい感じがしてすごく共感できました」
半島地域「城州」の東に位置する城州東高校に通う主人公の東ゆうは、“絶対にアイドルになりたい”と強い想いを抱き、「1:SNSはやらない。2:彼氏は作らない。3:学校では目立たない。4:東西南北の美少女を仲間にする」というルールを課して高校生活を送る。「東西南北の美少女を集めてアイドルグループを結成する」という野望を抱く彼女は、他の3つの方角の高校へと足を運び、可愛い女の子と友だちになる計画を実行。“輝く星たち”を仲間にし、様々な困難にめぐり逢いながらも高校生活をかけて夢を追っていく。
待望の公開を迎えたことについて高山は、「小説を書いた当時は必死で、こんなに大きなもの(映画化)に繋がるとは思っていなかったので、当時の自分がこんな未来を知ったらびっくりすると思います。声優の皆さんもとても可愛くて、キラキラしていらっしゃって…凄く色々な感情が巡っています。この感情をまた何かの作品に昇華させたいなと思えるような貴重な体験を、今回のアニメ映画化でさせていただきました」と感無量の様子。
本作のお気に入りポイントについて問われると、「私は主題歌が流れるオープニングが好きで、これは小説では味わえない“アニメならでは“だなと思います。星街すいせいさんの歌と、主人公・ゆうの『物語が始まるぞ』という感じも相まって、すごくワクワクする好きなシーンです。東西南北のメンバーが歌うシーンとか、木全さん演じる真司の登場時の何とも言えない顔とかも面白いので、注目していただけたら」と見どころを語った。
東西南北の美少女を集める計画を進めるゆうが出会ったのが、お蝶夫人に憧れるお嬢様で天真爛漫な聖南テネリタス女学院2年生、“南の星“・華鳥蘭子、人見知りでロボットに夢中な西テクノ工業高等専門学校2年生、“西の星”・大河くるみ、そしてボランティア活動に勤しむ控えめで優しい城州北高校1年生、“北の星”・亀井美嘉だ。そんな東西南北を演じる東ゆう役の結川、大河くるみ役の羊宮、華鳥蘭子役の上田、亀井美嘉役の相川がイベントに初集結。多種多様な人間味あふれるキャラクターの魅力と、演じる際にそれぞれの役柄に込めた熱い想いを明かした。
ゆう役の結川は、「『トラペジウム』をアイドルのキラキラした物語なんだろうなと思っていた方には、ちょっとびっくりするような不穏な雰囲気も感じ取れるところがあると思うのですが…」と前置きしながら、「ゆうはアイドルになりたいという想いがすごく強いので、一見身勝手だったり、とがっていたり、周りが見えなくなることもあって、少し嫌な子に見える部分があるかもしれません。でも、ゆうがアイドルを目指す気持ちは本物で、その想いを叶えるためだけに行動しているのは、始めから最後まで変わらないんです。どうかゆうを嫌いにならないで、応援するようにあたたかく見ていただけたら嬉しいです!」と、“絶対にアイドルになりたい”と夢にまっすぐなゆうの魅力を力説した。
くるみ役の羊宮は、「くるみちゃんはふわふわしていて萌え袖の女の子なんですが、好きなものには目を輝かせる女の子。くるみちゃんや東西南北のみんなが、それぞれ一生懸命もがきながら目の前のものに向かっていく、アイドルとはなんなのかをそれぞれ自分たちなりに考えながら歩んでいくところを見て、私はすごく元気をもらえました。くるみちゃんがどんな子なのかぜひご覧いただいて、帰り道に思い返したり、布教していただけたら幸いです!」と笑顔でコメントした。
蘭子役の上田は、「蘭子は作中では強烈なキャラクターと言われていますが、華やかで天真爛漫で個性的な反面、みんなの間に立って潤滑油になろうとする場面も多くあります。人の役に立ちたいとか場の空気を少しでも和ませたいとか、優しい気持ちに溢れた子なので注目して見守ってもらいたいです」と蘭子の優しさに言及。
美嘉役の相川は、「美嘉ちゃんはボランティア活動にいそしんでいたり、大人しくて優しい子に見えるけど、頭の中で考えてしまうことも多くて、パンクして感情豊かになるシーンも多い子です。『このシーンの美嘉ちゃんはどう感じてこの言葉を放ったんだろう?』と考えて観ていただけたら嬉しいですね。作品を通して成長している子なので、あたたかく見守っていただけたら」と、美嘉のキャラクターを紹介した。
雰囲気やキャラも全く違うそれぞれ個性を持った“東西南北”の美少女たちは、ロボコン大会や文化祭、ボランティア活動を通して徐々に仲を深めていくが、ゆうが夢を追い求める中でその関係性が少しずつ変化していく。そんな彼女たちの関係性にも注目だ。
全力で夢を追うゆうの計画に協力し、優しく見守る男子高校生・工藤真司を演じた木全は、白いシャツにラクダ色のパンツ、黒ぶち眼鏡姿という劇中の真司をイメージした衣装と、真司に寄せたヘアスタイルで登壇。「普段JO1で木全翔也を演じている、工藤真司です!」と自己紹介し会場を沸かせる一幕も。
木全は自らが演じた役を振り返り、「真司は一見なよなよして頼りないように見えるけど、実はすごく優しくて頼りになる男。作中でも後半に粋な計らいをしたり成長する真司を見て、僕は涙目になりました。作品自体も涙が出るぐらい感動したので、皆さんにも楽しんでいただけたら嬉しいです」と、役への思いと共に作品の魅力をアピールした。
篠原監督は、「原作を読ませていただいた時に、すごく面白い要素がたくさん詰まった小説だなと思いました。同時に、少しでも前向きな気持ちになっていただける作品にできればと思い、制作を続けてきました」と、高山渾身の原作と真摯に向き合いながら映画を作り上げてきたことを語った。
そして5月12日の“母の日”にちなんで、『トラペジウム』という物語、“東西南北”の生みの母でもある高山に、スタッフ・キャストから感謝の気持ちを込めてカーネーションをプレゼント。ゆうを演じた結川が、「高山一実さん、私たちやこの作品を愛してくれている皆さんに、『トラペジウム』と出会わせてくれてありがとうございます! 私はゆうに出会えて本当によかったです!」と感極まり涙を浮かべながら、高山へ鮮やかなカーネーションの花束を手渡した。
高山は感激しながらカーネーションを受け取り、「ありがとうございます! 私は小説でも自分の思いを書ききれないぐらいだったのに、声優の皆さんがそれぞれキャラクターのことを思ってくださる気持ちがすごく嬉しい! お優しくてプロフェッショナルな皆さんにお集まりいただいて感動しています、いい出会いに感謝でございます!」と笑顔いっぱいに喜びの想いを馳せ、会場からは大きな拍手が贈られた。
舞台挨拶の最後には高山からメッセージ。「私は人と人との繋がりが好きなんですが、それを言葉にするのは難しくて、小説もそんなことを思いながら書きました。『トラペジウム』は、コミュニケーションの難しさとか、人間ならではのぶつかりあいとか、学生時代こんなだったなとか、いろんな思いがこもっている作品です。感じ方はそれぞれ自由なので、それぞれ楽しんでいただけたら。少しでも皆さんの生活にスパイスを与えられたら嬉しいです!」。そして、キャストたちの弾ける笑顔と共にイベントは幕を閉じた。
『トラペジウム』は公開中。
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