映画『影踏み』の完成披露舞台挨拶が10月5日に中野サンプラザで行われ、山崎まさよし、篠原哲雄監督が登壇した。
本作は、「64ロクヨン」「クライマーズ・ハイ」などで知られる横山秀夫の同名小説の映画化。警察小説の騎手・横山作品の中でも犯罪者側を主人公にした異色の犯罪ミステリーで、単なる空き巣とは異なり、深夜に寝静まった民家に侵入し盗みを働く泥棒、通称ノビ師の真壁修一(山崎)が主人公。ある日の深夜、県議会職員宅に忍び込み、偶然放火殺人未遂を目撃したことがきっかけで、真壁の過去が呼び覚まされ、彼を取り巻く運命が変わっていく。
本作で『8月のクリスマス』以来14年ぶりに長編映画の主演をつとめた山崎は「いつかなくなると言われている中野サンプラザにご来場いただきありがとうございます(笑)。一般の方には初お披露目ということで、今日は映画を撮影して海賊版作らないように!」と挨拶し、会場からは大きな笑いと歓声が。篠原監督も「中野サンプラザがなくなるのは本当ですかね? 中野区民としては反対したいと思います。中野区民としてまいりました篠原です」と続け、会場を盛り上げた。
本作がオール群馬ロケであることや、群馬県で開催されている「伊参(いさま)スタジオ映画祭」での原作者・横山との出会いが制作のきっかけであることを聞かれた篠原監督は「横山さんが伊参スタジオ映画祭のシナリオ大賞の特別審査員をつとめていまして、その関係で親しくなりました。横山さんが審査員を降りた2016年に横山さん原作の『64-ロクヨン‐』の上映と『月とキャベツ』の20周年記念上映が重なり、その時に横山さんと山崎さんが親しくなったんです。『月とキャベツ』も公開から20年以上経ち、伊参スタジオ映画祭でも上映が続いているので次の映画をそろそろやりたいという話になり、それで昔から横山作品のファンだったという山崎さんが出演するなら横山作品でということになりました。これまで多くの作品が映画化されていますが、(2016年当時)『影踏み』のみ映画化されていなくて、これだと思いました」と制作に至った経緯を説明した。
一方、映画が完成した気持ちを聞かれた山崎は「今回、主題歌も担当しましたけど、自分の芝居を見ながら音を作るという恐ろしいことをしました(笑)。客観的に自分の芝居を見る時間が多くて、プロの役者ではないので大丈夫かなと不安になりましたが、それでもミュージシャンとして映画の最後を自分の主題歌で締めくくることができたのは感無量です」と回答。
その山崎とは『月とキャベツ』(96年)以来のタッグとなる篠原監督は「『月とキャベツ』の時はミュージシャン役でしたので山崎さん本来の仕事の空気が出ていました。今回は本来の仕事とは違う泥棒という役でしたが、演技がうまくなっていて安心しました」とコメント。これに山崎が監督に向かって一礼すると、場内からは大きな笑いが巻き起こる。
『影踏み』は11月8日より群馬先行公開。11月15日より全国公開となる。
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