綾野剛が、10月18日にTOHOシネマズ 日比谷にて開催された、主演映画『楽園』初日舞台挨拶に、杉咲花、佐藤浩市、村上虹郎、ユップ・べヴィン、瀬々敬久監督と共に登壇。時に過酷だった撮影を振り返り、作品に寄り添う主題歌についても、出演者の思いが語られた。
映画『楽園』は、ベストセラー作家・吉田修一の原作の映画化。未解決の少女失踪事件から12年後、事件関係者3人の運命が繋がり、想像を絶する事件へと発展するサスペンス。事件の容疑者として追い詰められていく青年・中村豪士を綾野剛、消息を絶った少女と事件直前まで一緒だった親友・湯川紡を杉咲花、Y字路に続く集落で村八分になり孤立を深めていく男・田中善次郎を佐藤浩市が演じる。
この日のためにオランダから来日したコンポーザー・ピアニストのユップ・べヴィンが、本作のために書き下ろした「愛華」の生演奏でイベントはスタート。存在感抜群の上下赤のスーツで登壇した綾野は、初日を迎えた気持ちを「ようやくみなさんに作品を託すことができるなと。何かを感じてほしいとか、何かを届けたいという私たちの主観よりも、この作品を観た方の中に何が生まれるかが重要。ここから『楽園』はみなさんのものになります。大仕事の最後の受け渡しができてとても嬉しいです」と語った。杉咲は「撮影した日々は本当に苦しくて、ユップさんの曲を聞いてその日々が走馬灯のように蘇ってきた。自分にとってトラウマのような時間もあり(笑)それでも私はこの映画を観て救われたので、ひとりでも多くの方々に観ていただけると嬉しいです」と撮影中の気持ちを吐露した。
佐藤は「本作を見たみなさんの中には“楽園”という言葉を、悦楽的な刺激のある場所という意味で捉える方もいると思う。刺激的ではなくても、人がいがみ合うことなく暮らせる場所を“楽園”と呼ぶのか、それは人によって捉え方が違うと思います。そのようなことを映画を観ながら考えてもらえると嬉しいです」とコメント。村上は「僕の演じた広呂は、重たい雰囲気の本作の中では明るいキャラクター。他のキャストの方は暗い服を着てることが多いなと思ったので、今日は自分が明るい服装で盛り上げよう!と思ったら……」とこの日の綾野の真っ赤なスーツ姿をチラ見し、会場からは笑いが。
また、本作の主題歌である〈一縷〉を聴いたときの感想を綾野は「僕は映画を観終わった後〈一縷〉が流れた瞬間に大変助けられました。すべてを包み込み、掬い取ってくれて、なんとか立ち直るきっかけをくれて、とても感謝しています。(野田)洋次郎くんからもメールを頂いて『上白石萌音さんの声でなければこの楽曲になっていなかった』と絶賛してたので、真実が何も役に立たないと思う瞬間もありましたけど、そんな時にあの声を聞くと、真実を照らしてくれる声もあるんだなと思いました」と楽曲の印象を語る。瀬々監督は「“一縷”っていうタイトルが素晴らしいと思います。“一縷の想い”という言葉のように一筋の光に繋がっていくんだなと。そのような想いを野田さん・上白石さんと、映画を通して一緒に共有できたのは素晴らしいと思います」と本作の音楽面を支え、作品の世界観を作り上げた野田、上白石、ユップへの感謝を口にした。
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