白石和彌監督が、11月17日にTOHOシネマズ 日比谷にて行われた映画『ひとよ』のティーチイン・イベントにに出席し、途中から主演の佐藤健が飛び入りで登場した。2人が細部にこだわったラストシーンの撮影秘話を明かし、最後に次回作の構想についても言及した。
15年前のある夜、稲村タクシーの営業所で両親の帰りを待つ三兄妹の大樹、雄二、園子。帰ってきたのは母1人。そして「お母さん、さっき……おとうさんを殺しました」と衝撃の言葉を口にする……。劇団KAKUTAの舞台を、白石和彌監督で映画化した本作は、子どもたちのために父親を殺害してしまった母と、子どもたちの複雑な感情が綴られたヒューマンドラマ。
最初に1人で登壇した白石監督。1問質疑を終え、「誰か来られないか?とTwitterでつぶやいたら、音尾琢真君がすぐに『行けない』と返答してきた」とジョークを飛ばしていると、稲村家の次男・雄二を演じた佐藤が飛び入り参加!この粋なサプライズに観客は大興奮。観客からの質問も熱を帯びたものとなった。
カットされて残念だったシーンについて、佐藤は「カットされることに関して僕は前向き。残念には思わない。良くなかったからカットされたわけで、カットされてありがとうぐらいに思う役者です」と俳優としてのポリシーを告白。稲村家の長男・大樹(鈴木亮平)と別居中の妻(MEGUMI)との激しい口論シーンがカットされたそうだが、白石監督は「いいシーンだったけれど、それがあると長男のシーンが続きすぎて、長男の映画になり過ぎると思った」と映画全体のバランスを考えてのカットだったことを打ち明けた。
また感情を揺さぶるラストシーンの秘話を求められた佐藤は「監督が急にバナナを持ってきて驚いた」と明かすと、白石監督は「筑前煮も撮影場所のタクシー会社の方々が出してくれたもので、とても美味しくて。それもその場の判断で雄二に持って行かせようと思った。田舎って何かをお土産に持って行かせようとすることってありますよね」と細部にもリアリティを追求。稲村家の家族写真にもこだわりがあり、佐藤は「もらったバナナを持って写真に写ろうとか、(稲村家の長女・園子役の)松岡茉優さんがはじけたバージョンとか、数パターンを撮影したけれど、使用されたのは全員が真面目な顔の写真でした」とエピソードを明かした。
ラストの車中シーンは2テイク撮影したというが、白石監督は「使用したのはファーストテイク。健君の目に涙が溜まっている感じがよかった」と採用理由を明かし、「実はそのシーンでは、僕が健君の横でヤドカリみたいに小さく丸まって隠れていました。現場は結構グチャグチャでしたよね」と静けさとは真逆の撮影状況を回想していた。
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