広瀬すず、2人の天才を狂わせる宿命の女に。三角関係と壮絶な愛憎描く『ゆきてかへらぬ』主演

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広瀬すず
根岸吉太郎監督(左)と広瀬すず(右)
広瀬すず
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根岸吉太郎

広瀬すずが主演を務めた最新作『ゆきてかへらぬ』が、2025年2月に公開されることが明らかになった。実在した女優の長谷川泰子(はせがわ やすこ)に魅了された詩人・中原中也と、後に日本を代表する文芸評論家となる小林秀雄。出口のない三角関係と壮絶な青春を描いた本作について、場面写真と主演・監督・脚本家のコメントが到着した。

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40年以上映画化が熱望され続けた脚本を映画化

舞台となるのは大正時代。まだ芽の出ない女優・長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合うふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。その後東京に引っ越したふたりのもとを、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家・小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく。

監督は、『遠雷』『探偵物語』『ウホッホ探検隊』など、日本映画界を長年牽引してきた名匠・根岸吉太郎。脚本は、鈴木清順監督の「浪漫三部作」(『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』)や『セーラー服と機関銃』など、数々の映画で異彩を放ち続けてきた名脚本家・田中陽造。日本映画界を代表するふたりのタッグは、『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』以来16年ぶり。根岸にとっても16年ぶりの長編映画。本作の脚本は40年以上前に書かれたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった、いわば「知る人ぞ知る」幻の脚本として知られている。

映画タイトルは、病床の中原中也が小林秀雄に託し中也の没後に刊行された詩集「在りし日の歌」に所収されている一篇の詩から取られている。その名があらわすとおり、後戻りすることのない3人の壮絶な青春を追いかける。傷だらけになりながらも進み、傷だらけだからこそ生きた男女の姿は、現代を生きる若者たちの姿とも重なるはずだ。

主演の広瀬すずは、ふたりの天才の間で狂おしいまでに生きる姿を赤裸々に演じ新境地を切り拓いたが、本作について「今回演じた長谷川泰子は、大正というモダンな時代を自由にというか、必死というのか、無謀に駆け抜けた女性でした。本当に体力のいる役でした。根岸監督はこの作品が16年ぶりの長編映画と聞いておりましたが、それを感じさせない程、現場では監督の体力が一番すごかったですね。根岸監督の映画づくりというものを、この目で見て、体感して、とても贅沢でした」とコメント。

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根岸吉太郎

『ゆきてかへらぬ』撮影中の根岸吉太郎監督

根岸監督は「大学で学生に映画を教えたり共に学んだりしているうちに、時があっという間に過ぎ去り 16 年ぶりの長編映画となりました。『ゆきてかへらぬ』は多くの監督や演出家が映画化したいと望んでいた知る人ぞ知る田中陽造さんの珠玉のシナリオです。これを託され5年の準備期間を経て素晴らしいキャストに恵まれ完成しました。大正から昭和へ移る時代を舞台に、ひとりの女とふたりの男の、奇妙な三角関係と真摯で壮絶な青春を描いた作品です。ぜひ、今の時代に青春を送る若者たちに観ていただきたいです」とコメント。また広瀬の演技について「奥深いところで役を捉え、まるで泰子という主人公に憑依したかのようです。誰も見たことのない泰子の“広瀬すず”がここにいます」と称えた。

広瀬すず

一方、脚本の田中は「女優と詩人と批評家の、二度と戻れない青春時代を描いた映画です。40年以上も前に書いた脚本ですが、今の時代に共鳴してくれればと願います」とコメントを寄せた。