草彅剛「頭のシーンから最後までほんとに全部覚えています」『ミッドナイトスワン』トランスジェンダー役演じ感じた思いとは?
ロングラン記録した『ミッドナイトスワン』がついに最終上映を迎える
2020年に公開され、第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を受賞した『ミッドナイトスワン』。邦画史上類をみない185週のロングランとなった本作がついに最終上映を迎え、主演の草彅剛、服部樹咲、そして内田英治監督が登壇する舞台挨拶が実施された。
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満員の客席を見た草彅は、「こんなに満員御礼、僕満足、1本満足なんですけれども」と笑いを誘いつつ、「185週も経っているのにこんなに満員の映画というのは稀にみないですよね(笑)。今日は楽しんでください!」と挨拶。
服部は「お久しぶりです。公開から約4年経ってまだ愛されていることを満席の劇場を見て実感しています。当時はこんなにも長く愛されるものになるとは思っていなかったのですごく嬉しく思います」と喜びを語った。
内田英治監督は「撮影からは5年経ったのですが、皆さんに約4年間も応援していただいて、こんなに愛されて感無量です。本当にありがとうございます」と観客の皆様へ感謝の気持ちを表した。
撮影を振り返ってみてどうだったかと聞かれた草彅は、「頭のシーンから最後までほんとに全部覚えています。トランスジェンダーというのは初挑戦だったんですが、監督の熱い思いがつかめたので、いい経験が出来ました」と語った。
それを受けて内田監督が「とても覚えているのが、衣裳合わせの時からすでに凪沙になっていたんです。とてもびっくりしました」と伝えると、草彅も「そうなんですよね、最初に脚本を読んだ時に涙があふれてきて、何の涙かわからなかったけど、自分が流した涙を観客の方に伝えたいと思いました」と当時の気持ちを感慨深く振り返った。
本作は服部の女優デビュー作となる。「樹咲ちゃんも大人になられて、本当に嬉しいですよ」と草彅が語りかけると、服部は「来月18歳、成人になります」と笑顔。内田監督は「初めはオーディションでしたが覚えてますよ、中学1年生で。オーディションのドアを開けて”1歩目”で決まりました。」と裏話を披露した。
最近は韓国ドラマにハマり、韓国語を勉強しているという服部。韓国語が得意な草彅と韓国語での会話を披露すると、「発音もめちゃめちゃネガティブ」という草彅に、服部から「ネイティブ…」と突っ込みが。草彅は「ネイティブだったね(笑)」と立て直しつつ感心した様子で、「これからもっと大人になって、スワンのように白鳥のように、世界に羽ばたいてほしいですね」としみじみと語った。
観客からの反応を見てどんな気持ちだったかと聞かれた内田監督は、「いろんな方からお手紙いただいたりして嬉しかったですね、あとは、香取(慎吾)さんとお会いした時に現場の時の草彅さんの様子を目をキラキラさせながら聞いてくれました」と回答。草彅も「そうなんですよね、慎吾ちゃんこの作品見て感銘を受けてくれて“自分が演技をするのをやめようかと思うくらいつよぽんがよかった”と話してくれたんです」と打ち明けた。
服部は当時のことを思い出しながら、「あの時は自分のことでいっぱいだったので、現場での監督の動きやスタッフさんの動きがあまり覚えられていないのがもったいなかったなと思います。大人になった今、また内田監督の作品にも出たいですし、草彅さんとも演技がしたいです。そして、当時は夢みたいな気持ちで、実感もわかずに頑張っていました。先日少し思ったのですが、今となると女優としてはこの作品はデビュー作でしたが、バレエで言うと集大成的な存在でした」と言葉を並べ、大粒の涙をこぼした。
これを見た草彅は「樹咲ちゃんはバレエの話をすると泣いてしまうんだよね。思い入れが強いんだよね」と優しくフォロー。服部は「幼い頃からバレエをやってきたのですが、この作品に出て『素敵だった』とか『キレイだった』という感想を聞くたびに、このためにバレエをやってきたんだなと思えるし救われていました」と熱い思いを口にした。
最後に草彅は「自分でも信じられないんです、凪沙という役を自分がやったんだと思って。自分の中に自分の知らない何かがあるのかもしれない。それはとても素敵なことで。みなさんも、自分の可能性や未来を諦めないでもらいたいなと、そんなことを凪沙を通じて思いました。今困っていることとか大変なことがある方も、自分すら知らない良い自分が必ず眠っている、乗り切れるチャンスはあると思うので、前向きになってもらえたらいいなと思います。今日まで『ミッドナイトスワン』を愛していただいて、ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします」と語り、イベントを締めくくった。
『ミッドナイトスワン』は各種配信サービスで配信中。
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