女流作家の娼婦体験記『ラ・メゾン 小説家と娼婦』
2019年にフランスで発表されたとある小説が、世間の注目を集めた。女流作家が自ら娼館に潜入して娼婦として働き、そこでの体験やリアルな娼婦たちの姿を赤裸々に描くという手法が人々を驚かせ物議をかもしたのである。この小説を映画化した『ラ・メゾン 小説家と娼婦』は、去年の12月に日本でも公開され話題になったR18+作品だ。元娼婦が語る娼館での実体験となると生々しいエロティックなストーリーを想像してしまうのだが、果たして『ラ・メゾン 小説家と娼婦』はどのくらいエロイのか。女性目線で紐解いてみるのも一興だろう。
・兄嫁がビキニのブラを外して…エロに夢中の少年を描く“伝説の初体験モノ映画”第2弾
執筆のために娼館で働くことにした作家は…
下着姿で無表情なエマ(アナ・ジラルド)がイカつい坊主頭の中年男性にバックで突かれているシーンで幕を開ける本作。フランス人のエマは、ドイツに住んでいる妹の家に居候しながら自らの執筆活動の取材のために娼館ラ・メゾンで働くことを決意する。それを知った親友の作家仲間や妹は「セックスが好きなのは構わないけど娼婦をやるのは違うと思う」と不快感を示すが、エマは頑として耳を貸さない。面接で娼婦経験を聞かれたエマは「もちろんある」とうそぶき、ジュスティーヌという源氏名で娼婦として働き始める。
エマは素性を隠しているのだが、同僚の娼婦たちはどこか毛色の違う新入りにうさん臭さを感じて一線を引いており、イマイチみんなになじめず店でひとり浮いている。それでも「フランス人」であることを武器に日々客を取り、娼婦としての業務を着々とこなしていくのだった。客のほとんどは冴えない中年男性だが、中には若いイケメンのアメリカ人旅行者などもいて、エマに言わせれば逆にそういう客の方が仕事がやりにくいという。
客の変わった要求にも対応、自らを教材に
そして、娼館を訪れるのは服を脱ぐと早々に本番を要求する客ばかりではない。ベッドでエマと対峙しながら「足を開いて」と要求し、秘部を見ながら自慰行為にふけって1人果てる男性、2人の娼婦をベッドに侍らせ、自分は何もせず女たちにレズビアンプレイを要求する医者、異性愛者でありながら好奇心で娼婦との一夜を過ごしに来た女性、中年にもかかわらず女性経験が少なすぎて女性の悦ばせ方がわからず、手ほどきを受けに来る男性…など様々な客が訪れる。
男性への手ほどきでは、「指でやってみて」「次は口で」と自らの股間を「教材」として客に差し出しながら、微妙な表情でその腕前を査定するエマの姿に思わず失笑してしまう。
人を喜ばせる仕事だが行為自体は…
手や口を使って男性のスイッチをONにすると、ベッド脇のコンドームを手に取り袋を口にくわえて手際よく封を切る。客の要望に応えながら、時間内でそれぞれの求める「ゴール」達成に向けて伴走をする。エマは、娼婦は人に喜びを与えられる仕事だと胸を張る半面、行為自体は「作業だ」と断言する。愛する人とのセックスで得られる、自分が激しく求められているのを全身で感じながら“する”あの感覚を味わうことはない、と。
当初はギクシャクしていた同僚たちとも次第に打ち解け、エマは彼女たちに愛着すら感じるようになっていく。作中にセックスシーンや裸体は頻繁に登場するものの、視聴後は作家としての冷静な観察眼や娼婦たちの温かみのある人間臭さの方が余韻として心に残る印象だ。(文:春蘭/ライター)
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