ディズニーの強さ際立つ2019年全米興行ランキング

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』
(C) Marvel Studios 2019
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
(C) Marvel Studios 2019

2019年の全米興行ランキング1位は『アベンジャーズ/エンドゲーム』。前作『インフィニティ・ウォー』から続く物語で、『アベンジャーズ』のフィナーレを飾った。アイアンマンとキャプテン・アメリカの活躍が最後となる衝撃の内容で一大イベントとなり、初日3日間のオープニング興収は歴代新記録を樹立。最終的な興収では『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に次ぐ歴代2位を記録した。

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2位は『ライオン・キング』。ディズニーの名作アニメの実写化を比較すると、日本では『アラジン』、米国では『ライオン・キング』の興収が上回っている。

目を引くのが4位『キャプテン・マーベル』の人気。初めて映画化されるキャタクターとしては異例の大ヒットとなった。日本では年間ランキング圏外で、米国でのヒットぶりが際立っている。18年の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラストでキャプテン・マーベルの存在がほのめかされ、『エンドゲーム』の前に公開。絶妙のタイミングでのお披露目で、ファンの心をしっかりつかんだ。マーベル映画初の女性ヒーローで、ハリウッドで多様性を重視する流れもヒットを後押ししたようだ。

近年米国映画界を席巻するアメコミ映画は5本がトップ10入り。DCコミックス作品が『アクアマン』『ジョーカー』と2本あり、押されていたマーベル映画に反撃ののろしを挙げたといえそう。また『ジョーカー』はR指定のアメコミ映画としては『デッドプール』『ローガン』に続く大ヒット。バイオレンス描写が過激でも、見たいファンが多いことを改めて示した。

根強い人気を見せたのが『グリンチ』。ドクター・スースの児童向け絵本のアニメ化だ。緑の怪物グリンチが、大嫌いなクリスマスに起きる奇跡を通して改心する物語で、何度もテレビアニメ化され米国では幅広く親しまれている。00年12月にはジム・キャリーで実写映画化されたこともある。久々の映画化が話題となり大ヒットした。

興行ランキングを見ると、1位は『アベンジャーズ/エンドゲーム』2位『ライオン・キング』、3位『トイ・ストーリー4』、4位『キャプテン・マーベル』、6位『アラジン』とトップ6に5本のウォルト・ディズニー配給作が並んだ。ディズニーの強さが際立つ19年となった。(文:相良智弘/フリーライター)

[2019年 全米興行ランキング]
1位『アベンジャーズ/エンドゲーム』8億5800万ドル(以下、通貨単位は同様)
2位『ライオン・キング』5億4300万
3位『トイ・ストーリー4』4億3400万
4位『キャプテン・マーベル』4億2700万
5位『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』3億9100万
6位『アラジン』3億5600万
7位『アクアマン』3億3500万
8位『ジョーカー』3億3200万
9位『グリンチ』2億7100万
10位『ボヘミアン・ラプソディ』2億1600万
(Boxoffice.mojo調べ。18年11月から19年11月15日までに公開された作品が対象)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。