新聞記者、シェフ、マンガ家…お仕事シーンもステキ! 映像化してほしいBL作品

#ボーイズラブ#BL#Marble#ステノグラフィカ#そして続きがあるのなら#一穂ミチ#俺と上司の恋の話#国民的スターに恋してしまいました#東京心中

「そして続きがあるのなら」
バンブー・コミックス 麗人セレクション
「そして続きがあるのなら」
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前々からどうして映像化されないんだろうと思っていたBL小説家・一穂ミチの作品。今年は「イエスかノーか半分か」がアニメ化されることになった。一穂ミチは作品数が多いことも驚かされるが、それぞれの業界が丁寧に描かれていて、綿密なリサーチのもとに書いてるのだろうといつも感心させられる。お仕事がしっかり描かれたBL作品は幅広い層が見て面白く、映像化にも向いているだろうと思う。これから映像化して欲しいBL作品を紹介しよう。

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「ステノグラフィカ」
BL小説家で一番人気と言ってもいいんじゃないかと思うほど多くの支持を得る、一穂ミチのBL小説。「is in you」から始まるこのシリーズは新聞業界が描かれていて、スピンオフであるこちらの「ステノグラフィカ」が筆者のお気に入り。新聞社政治部の記者・西口と、国会で速記者として働く碧を描いている。観察力が鋭い西口、静かな佇まいの碧というように仕事とキャラクターが合っているし、仕事内容もしっかり描かれハマってしまう。いや、もちろんBLとしてもいろいろ納得できて面白い。新聞社や国会の世界観を実写で見てみたい。

「俺と上司の恋の話」
やっぱりお仕事するメンズのスタイルと言えばスーツ! サラリーマン同士の社内恋愛を描いたこちらのシリーズは、ノンケの後輩攻め×ゲイのツンデレ先輩の王道パターンだ。少女漫画っぽい絵柄で入りやすいこともあり、ほとんどの腐女子が初心者だった頃に読んでいる。後輩はワンコで先輩にまっすぐに愛を伝え、ゲイというマイノリティのために恋愛経験が乏しい先輩は戸惑いながら一旦は受け止めるものの、後輩の将来を思って身を引き……。BLではテンプレな展開だけど、やっぱり切なくて泣けてしまう。映像化するなら1巻だけでも成立するが、ひとつのBLの理想のハピエンである3巻まで描いて欲しい。せっかくならスーツは3次元で見たいから実写化が希望。

「Marble」
絵も綺麗で、お仕事もしっかり描くことに定評のある川唯東子原作。ビストロを舞台に、無愛想でわがままで料理以外ダメダメだけど料理の腕はすごいシェフ・近森と、近森が仕事しやすいように世話を焼いてくれて気配りも上手なソムリエ・梶を描く。信頼と絆が恋愛に育ってしまった近森と、それに気づかない梶のすれ違いが仕事を通して丁寧に描かれる。不器用な近森がいじらしくてキュンとする。エロはラストしかないのでエロ無しにして実写化しても良さそう。わがままツンデレな近森が実はドM受けなのがかわいいからエロ無しはもったいないけど。あと、とっても美味しそうな凝った料理の数々も実写化したら見どころになりそうだ。

「東京心中」
お仕事BLと言えばコレ! なんとなくテレビ業界に入った新米ADの宮坂絢(けん)と先輩ディレクターの矢野聖司(せいじ)を描いたトウテムポール原作のBLコミック。まだ連載は続いていて単行本が9巻出ている。若い頃は映像関係の仕事についていた筆者としては刺さりまくりなのだが、そうでない方も共感する部分が多いと思う普遍的な作品だ。仕事において好きなことを仕事にするために起こる葛藤や、好きなことだからと言って向いてることではなかったり、向いている者は自覚していなかったり、いちいち頷いてしまう。仕事や映像には真摯で良い先輩である矢野に宮坂が惚れるのも納得できて、BLとしても違和感ない。ちなみに筆者のペンネームの由来であるほど好きな作品だ。いい年なのに女性に間違えられるほど綺麗な矢野は3次元で想像できないし、シンプルな線のイラストがあってるから原作に近い絵でアニメにして欲しい。

「国民的スターに恋してしまいました」
これは珍しく吹き出して笑ってしまった、BL小説説のラブコメディ。国民的な人気を博す若手イケメン俳優・真中旬と、彼のファンクラブ向けツアーに添乗員としてつくことになった葛生惇史の恋を描いている。笑いもあるがじれったい2人が切なくて、キュンキュンすること請け合いだ。旬はスターだけど実はネガティブで健気な子で、葛生も真面目で思いやりがあり、要するに良い人同士。ただ天然なのと、むっつりスケベなところがあるのが笑える! セルフ突っ込みの心の声も含めて、作者の小林典雅はセリフが長くて、喋れば喋るほど空回りしてて面白いので、映像化するならぜひそのまま生かして欲しい。芸能人ものだし、人気俳優を使って実写化するのに向いているだろう。

「そして続きがあるのなら」
あまたあるBL作品の中で筆者が一番好きな作品! ぜひ映像化されて多くの人に知って欲しい。自分の才能を見限って麻雀雑誌の編集者をしている坂口は、高校時代に漫画の才能があると見込んだ後輩の藤代と偶然再会する。コンビニでアルバイトをしていた藤代に半ば強引に漫画を描かせると、評判になって売れっ子になるが……。お互い思い合うからこそのすれ違いには思わず涙してしまう。漫画家漫画としても面白く、コワモテで強気だが凡才の先輩と、自己評価低くて気が弱いが天才的な後輩というバランスもいい。2人はベッドの上でもバランスが良くて、ヘタレわんこ後輩攻め×漢前年上受けが最高に良い。コワモテ先輩の色っぽいこと! 筋肉しっかりで男臭く3次元だと好き嫌いがはっきりしてしまいそうなので、アニメでお願いしたい。これも1巻だけでも成立するが、絆がより強まる3巻まで描いて欲しい。(文:矢野絢子/ライター)