オリンピックよりも注目したいのはこの映画!/ブラックすぎる完璧傑作、巨匠が情熱込めた問題作など
#ジョジョ・ラビット#ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密#パラサイト 半地下の家族#フォードvsフェラーリ#リチャード・ジュエル#独女のお勧め
【独女のお勧め】2020年の注目映画
2020年はオリンピックイヤーということもあり、各方面での盛り上がりが期待されますが、映画界も1月と2月は賞レースでさまざまな作品がスポットライトを浴びるところ。そこで、独女ライターが注目する2020年の話題作をご紹介します。
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1月にしてすでに2020年のベスト映画にもなりそうなのは、若き巨匠ポン・ジュノ監督最新作『パラサイト 半地下の家族』(1月10日公開)。カンヌ国際映画祭では、韓国映画としては初となる最高賞のパルムドールに輝きましたが、ゴールデングローブ賞にも監督賞をはじめ3部門にノミネートされ、現在は各国で動員記録を更新し続けているほどの熱狂ぶりを見せています。半地下住宅に暮らす全員無職の4人家族が、あることをきっかけに高台に暮らす大富豪の家族に“パラサイト”していく様子がスリリングかつブラックコメディたっぷりに描かれている本作。ネタバレ厳禁の作品であるため多くは語れませんが、現代が抱える社会的問題を織り交ぜながらの見事なストーリー展開、俳優陣の演技、細部にわたるこだわりまで、とにかく「見ればそのすごさがわかる!」ということだけをお伝えしたい完璧な傑作です。
2本目は、実話を基に映画化された『フォードvsフェラーリ』(1月10日公開)。ル・マン24時間耐久レースで、絶対王者のフェラーリに立ち向かった男たちの無謀な挑戦に迫っています。車に興味のある人はもちろんですが、そうではない人も楽しめるのが本作の魅力。まるで自分がレーサーにでもなったかのような迫力のあるレースシーンとエンジン音は、ぜひスクリーンで体感して欲しい作品です。マット・デイモンとクリスチャン・ベイルという豪華初共演が実現したのも映画ファンにとってはうれしいところですが、2人が繰り広げる熱い友情の物語をはじめ、家族の絆、夫婦の愛には、男女問わず幅広い層に響くはず。知られざる奇跡と感動の瞬間を目撃してみては? ゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされたベイルが、2年連続の受賞となるかにも注目が集まっているところです。
続いては、2020年で90歳を迎える巨匠クリント・イーストウッド監督の衰えることのない創作意欲と情熱と感じられる『リチャード・ジュエル』(1月17日公開)。こちらも実話が基になっていますが、1996年にアメリカのアトランタで起きた爆発事件で、多くの命を救い、一時は英雄とされた警備員リチャード・ジュエルがFBIとメディアによって容疑者扱いされてしまう騒動の一部始終が描かれています。息子の無実を信じ続けた母を演じ、ゴールデングローブ賞の助演女優賞にノミネートされたキャシー・ベイツの心を動かす名演技には、思わず涙が溢れてしまうはず。メディアが引き起こした悲劇は、いまにも通じる問題でもあるだけに、多くのことを観客に問いかける作品です。
こちらはトロント国際映画祭で観客賞を受賞し、ゴールデングローブ賞の作品賞・主演男優賞にノミネートをはたした話題作『ジョジョ・ラビット』(1月17日公開)。第二次世界大戦下のドイツに暮らす10歳の少年が“空想上の友人”であるヒトラーの助けを借りて、立派な兵士を目指す姿が映し出されています。辛口のユーモアを交えながら、ヒューマンドラマとして感動の嵐を呼んでいる本作。なかでも、注目を集めているのは、映画初出演にしてゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた11歳の新星ローマン・グリフィン・デイビス。そして、監督・脚本のみならず、ヒトラー役を演じているタイカ・ワイティティの存在です。アカデミー賞本命とも言われる本作の快進撃に、期待が高まります。
以上、独女がオススメする2020年の注目作5選でした。そのほか、近年の映画界を席巻しているNetflixからも傑作が続々と誕生しているので、これから本格化する賞レースを前に『マリッジ・ストーリー』やマーティン・ スコセッシ監督作『アイリッシュマン』といった話題作もお見逃しなく。(文:志村昌美/ライター)
志村昌美(しむら・まさみ)
映画宣伝マンとして洋画や邦画の宣伝に携わったのち、ライターに転向し、現在は映画紹介やインタビューなどを中心に執筆。イタリアとイギリスへの留学経験を経て、日・英・伊・仏のマルチリンガルを目指すべく日々精進中。ハリウッドの大作よりも、ヨーロッパ系の小規模な作品の方が気になりがち。
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