50人に1人程度の割合でいる強迫症だが、悩みを抱える人はそれを隠す傾向
監督の実体験をもとに<強迫症>を隠して生きる高校生とその友情を描いた映画『悠優の君へ(ゆうゆうのきみへ)』が全国順次公開されることが決定した。本作よりポスタービジュアルと場面写真を紹介する。
・松村北斗はパニック障害抱える男、上白石萌音はPMS抱える女に…2人が”友だちでも恋人でもない”関係演じる『夜明けのすべて』
いつも一人で過ごしている高校生の悠(はる)。そんな悠には気になる人がいる。それは毎日同じ時間に、教室から見える手洗い場に現れる生徒だった。その子はただひたすら手を洗い続ける。何度も、何度も。悠はなぜだかその子から目が離せなくなっていた。
何かに期待することを諦め、“普通”の輪から離れて生きる主人公・悠が、“普通”に憧れ、その輪からはみ出さないように生きようとする優乃(ゆうの)と出会い、お互いが抱える孤独と向き合いながらそれぞれの道を探していく。
小さなことや目に見えないことが気になって頭から離れず、何度も確認を繰り返したり、馬鹿馬鹿しい考えと知りながらその不安と恐怖に耐えられず、不安を消すための行動をしてしまう<強迫症>。日本でも50人に1人くらいの割合でいるとされるが、悩みを抱える人はそのことを隠す傾向にあり、知名度は低い。
本作の監督をつとめた福原野乃花は、7歳の頃に<強迫症>を発症。頻繁に手を洗うなどの症状が見られるようになり、「誰かに危害を加えてしまうかもしれない」と思う加害恐怖にとらわれる。しかし、「普通ではない自分は気持ち悪がられるのではないか」という恐怖から誰にも相談することができなかった。
20歳の時、勇気を出して悩みを打ち明け、「もう一人ではないんだ」と肩の荷が降りたという。人に頼ることの必要性を知った経験から、いまなお苦しみの渦中にいる人たちに向けて、また<強迫症>をもっとたくさんの人に知ってほしいとの思いで本作を企画。多くの人の賛同を得て、映画を完成させた。
紹介するポスタービジュアルは、<強迫症>に苦しむ自分を隠していつも明るく振る舞う優乃と、自身も悩みを抱えながらも優乃の痛みにそっと寄り添う悠が、真っ青な空と海を前にして顔をほころばせるカットが印象的だ。「誰かに聞いてほしかった。きっと、いまがそのとき」というコピーが添えられ、作品全体に漂う優しい雰囲気を感じさせるデザインとなっている。
また、本作の公開期間中には、強迫症を多くの人に知ってもらうための国際的なイベント「強迫症啓発週間」も各国にて開催予定だ(毎年10月第2週開催)。
『悠優の君へ』は10月11日より全国順次公開。
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