トランプ長男も絶賛! トランプ批判にFワード、毒舌全開のゴールデングローブ授賞式
#ゴールデングローブ賞#1917 命をかけた伝令#パトリシア・アークエット#ブラッド・ピット#ホアキン・フェニックス#リッキー・ジャーヴェイス#ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド#第77回ゴールデングローブ賞
1月5日(現地時間)、ロサンゼルスで第77回ゴールデングローブ賞授賞式が開催され、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が最多3部門を受賞した。
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クエンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット共演、『ワンハリ』の愛称で日本でも大ヒットした同作は映画のコメディ・ミュージカル部門作品賞、タランティーノが脚本賞、そしてブラッド・ピットが助演男優賞に輝いた。
ドラマ部門の作品賞は、第一次世界大戦の戦場をワンシーンに見えるカメラワークで撮った『1917 命をかけた伝令』。サム・メンデスが監督賞も受賞した。ドラマ部門作品賞など4部門にノミネートされた『ジョーカー』はホアキン・フェニックスが主演男優賞、ヒドゥル・グドナドッティルが作曲賞を受賞した。
ドラマ部門の主演女優賞は、ミュージカルで活躍した伝説の大女優・歌手のジュディ・ガーランドの伝記映画『ジュディ 虹の彼方に』で渾身の演技でジュディになりきったレネー・ゼルウィガーが受賞。コメディ・ミュージカル部門主演女優賞は、『フェアウェル』で余命僅かの祖母を見舞う中国系アメリカ人女性を演じたオークワフィナが受賞。アジア系女優の主演賞受賞はこれが初めての快挙だ。コメディ・ミュージカル部門主演男優賞は、『ロケットマン』でエルトン・ジョンの半生を熱演したタロン・エガートン。
ゴールデングローブ賞はハリウッド外国人記者協会(HFPA)の投票によって決まる映画賞で、毎年2月発表のアカデミー賞の前哨戦として最も注目される賞の1つ。オスカーの行方を占う賞と目されてきたのだが、ここ数年はアメリカの映画人中心のアカデミー賞とは異なる授賞が増えてきている。
今年は配信サービス作品、特にNetflixからノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』が最多6部門、マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン 』が5部門、『2人のローマ教皇』が4部門で候補になったが、受賞したのは助演女優賞のローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)のみ。『マリッジ・ストーリー』も『アイリッシュマン 』も12月から始まった賞レースで競うように勝ち続けてきたが、HFPAは劇場公開作を重視する結果となり、技術部門中心になるかと思われた『1917 命をかけた伝令』の注目度が一気に上がったことで、今後の賞レースはさらに混戦状態になりそうだ。
今年の授賞式の最大の主役は、何と言っても司会を務めたリッキー・ジャーヴェイス。5度目の登板だが、本人は「今回が最後」と明言し、オープニングのモノローグで会場の出席者のみならずハリウッド全体を標的に容赦ない毒舌を浴びせた。
まずは候補者について「才能ある多くの有色人種が無視されましたが、どうすることもできません。ハリウッド外国人記者協会は非常に人種差別的なんです」。「もう誰も映画なんて気にかけていない。もう誰も映画館に行かないし、ネットワーク局のテレビも見ない。みんなNetflixを見ているんです」「Appleも“TVゲーム”(注:Apple TV+のこと)に乗り込んできた。
『ザ・モーニングショー』という尊厳と正しい行いの重要性を描いた素晴らしいドラマでね。作っているのは中国で労働搾取をしている会社ですよ。信じられない。Apple、アマゾン、ディズニー。もしISIS(イラク・シリア・イスラム国)が配信サービスを始めたら、あなたたちは(仕事を得るために)エージェントに連絡を取るんでしょ?」。そしてこう畳みかけた。「だから、今夜受賞した人たちは、その場を利用して政治的スピーチをしないように。あなたたちは観衆に何かレクチャーするような立場じゃないんだ。現実世界について何も知らない。ほとんどの人がグレタ・トゥンベリよりも学校に通った時間が少ないんだ。だから受賞したら、ステージに上がって賞を受け取って、エージェントと神に感謝して、さっさと消えろ。いいな?」
毒気たっぷりのブラックなモノローグには視聴者から賛否両論が巻き起こったが、ジャーヴェイス本人が目指したのはアウトサイダー役。「この場に招かれず、家で(テレビの前に)座っているやつ」になったつもりで語るつもりだ、と事前の「Hollywood Reporter」の取材で話している。メッセージが正しく伝わったのかどうなのか、ハリウッドと敵対するトランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・Jr氏は大いにお気に召したようで、「今日見るなら、これ」と動画付きでツイートした。
だが、受賞者たちも強者揃いで、ジャーヴェイスの挑発を無視してスピーチでは言うべきことを言う人が続出。モノローグのすぐ後に発表になったTV部門リミテッド・シリーズ/TV映画部門主演男優賞を受賞したラッセル・クロウ(『The Loudest Voice(原題)』)は、拠点であるオーストラリアの山火事のために授賞式を欠席したが、プレゼンターのジェニファー・アニストンが代読したスピーチで「間違えないでください。オーストラリアで起きている悲劇は気候変動によるものです。科学に基づいて行動しなくてはなりません。世界の労働力を再生可能エネルギーに移行し、ユニークで素晴らしい場所である私たちの惑星に敬意を払わなければなりません」と訴えた。
TV部門の助演女優賞を受賞したパトリシア・アークエットは「アメリカ合衆国では、大統領が文化遺産を含む52ヵ所が爆撃目標だとツイートしています。世界を旅する若者たちの命が危険にさらされています。人々は子どもたちの頭上に爆弾が落とされることを、オーストラリア大陸が火に包まれていることを知らずにいます」と2020年1月の世界について語り、今年行われる米大統領選の投票を呼びかけた。
一方で、助演男優賞を受賞したブラッド・ピットは共演のレオナルド・ディカプリオへについて「毎年のように共演者が彼に感謝するスピーチを聞いてきましたが、その理由がわかります。彼は完全なスターで紳士だからです」と語り、ディカプリオに向かって「君なしにはこの場に立てなったよ」と感謝した。そしてディカプリオの代表作『タイタニック』のエンディングについて「僕なら、あのいかだをシェアしたよ」と笑いを取り、「もし明日誰かに優しくするチャンスが訪れたら、そうしてください。私たちに必要なことです」と結んだ。
『パラサイト 半地下の家族』で外国語映画賞を受賞したポン・ジュノ監督は「字幕という、ほんのわずかなバリアを乗り越えたら、もっともっとたくさんの素晴らしい映画と出会えます」とスピーチ。
監督賞を受賞したサム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)は「この場にいる監督、世界中の監督でマーティン・スコセッシに影響を受けていない人はいません」と同部門で候補だった大先輩を称え、スコセッシ監督ははにかんだ笑顔で手を上げて応えるなど、心温まる瞬間もある授賞式となった。
【受賞結果】
●作品賞
ドラマ部門:『1917 命をかけた伝令 』
コメディ・ミュージカル部門:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
●主演女優賞
ドラマ部門:レネー・ゼルヴィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)
コメディ・ミュージカル部門:オークワフィナ(『フェアウェル』)
●主演男優賞
ドラマ部門:ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)
コメディ・ミュージカル部門:タロン・エガートン(『ロケットマン』)
●助演女優賞
ローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)
●助演男優賞
ブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
●監督賞
サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)
●脚本賞
クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
●アニメ作品賞
『Missing Link(原題)』
●外国語映画賞
『パラサイト 半地下の家族』
●作曲賞
『ジョーカー』ヒドゥル・グドナドッティル
●主題歌賞
「(I’m Gonna) Love Me Again」(『ロケットマン』)
●テレビ部門
テレビシリーズ作品賞
ドラマ部門:『サクセッション』
コメディ・ミュージカル部門:『Fleabag フリーバッグ』
●ドラマ部門
主演男優賞:ブライアン・コックス(『サクセッション』)
主演女優賞:オリヴィア・コールマン(『ザ・クラウン』)
●コメディ・ミュージカル部門
主演男優賞
ラミ・ユセフ(『ラミ』)
主演女優賞
フィービー・ウォーラー=ブリッジ(『Fleabag フリーバッグ』)
●助演男優賞:
ステラン・スカルスガルド(『チェルノブイリ』)
助演女優賞:
パトリシア・アークエット(『The Act(原題)』)
●リミテッド・シリーズ、TV映画部門
作品賞:「チェルノブイリ」
主演男優賞:ラッセル・クロウ(『The Loudest Voice(原題)』)
主演女優賞:ミシェル・ウィリアムズ(『Fosse/Verdon(原題)』)
助演男優賞:ステラン・スカルスガルド(『チェルノブイリ』)
助演女優賞:パトリシア・アークエット(『The Act(原題)』)
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