エマ・ストーン、『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモスと再タッグ! 最新作で挑む“高難易度”の役柄とは?
エマ・ストーン、『憐れみの3章』ではキャラクター3人を演じ分ける
『哀れなるものたち』(23年)に続き、ヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンのタッグが贈る衝撃の最新作『憐れみの3章』。本作より、強烈で個性的なキャラクター3人を魅力的に演じ分けたストーンの新写真を紹介する。
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ランティモス監督と本作で3度目のタッグを組んだのは、『ラ・ラ・ランド』(17年)『哀れなるものたち』においてアカデミー賞主演女優賞を受賞し、現在のハリウッドで最も多才で人気の高い映画人のひとりに数えられるエマ・ストーン。この10年における数々の重要作品で多数の賞を受賞し、映画界の注目を集めてきた存在だ。
18世紀イングランドの王室を舞台に、3人の女性の入り乱れる愛憎を描いた人間ドラマ『女王陛下のお気に入り』(19年)でランティモス監督と初タッグを組んだストーン。彼女が同作で演じたのは、オリビア・コールマン演じるアン女王に侍女として仕える女性・アビゲイル役。病弱なアン女王の代わりに、親友で政治顧問のサラが国を治める中、新たな召使いとして着任したのがアビゲイルだった。貴族家系がルーツのアビゲイルは、上流階級への返り咲きを狙い、アン女王の相手として気に入られようと画策する。
ストーンは、冷静で賢く、人を際限なく魅了する才能を持ち合わせるアビゲイルを強烈に演じ、第91回アカデミー賞助演女優賞ほか、数々の章にノミネート。天才監督ランティモスの手によってストーンの新たな一面が引き出され、卓越した演技力とその存在感は多くの人を魅了した。
ランティモス監督と2度目のタッグとなったのが、第80回ベネチア国際映画祭で最高賞〈金獅子賞〉を獲得し、第96回アカデミー賞で主演女優賞を含む4部門を受賞するなど、数々の賞レースを席巻した『哀れなるものたち』。ストーンが演じたのは、自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ。天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって、“生まれたての女性”として奇跡的に蘇生したベラは、「世界を自分の目で見たい」という強い欲望に駆られ、ヨーロッパ大陸横断の旅の中で新しい世界を見つけていくことに。
ストーンは、ジェンダー、年齢、国籍、時代、そのすべてを超越して、真の自由を手にするために前へと進み続けるベラを、繊細かつダイナミックに演じきり、これまでにないキャラクターを見事に表現。2度目のアカデミー賞主演女優賞に輝き、映画史にその名を刻み込む快挙を成し遂げた。
そして、ついに3度目のタッグとなった最新作『憐れみの3章』では、3つの独立したストーリーの中でそれぞれ別のキャラクターを演じるという新たな挑戦に挑んでいる。ストーンは全く印象の違う3役を見事に演じ分け、見る者を魅了。新たな躍進を遂げている。
第1章となる「自分の人生を取り戻そうと格闘する、選択肢を奪われた男」を描いた物語では、ジェシー・プレモンス演じるロバートが出会う女性リタを演じている。美しいロングヘアでタイトなミニドレスを着こなし、優しさを感じさせながらも、どこかミステリアスで謎めいた雰囲気の女性であるリタは、チャーミングな笑顔が印象的で、誰もが魅了されるに違いない。
第2章となる物語「海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官」では、ジェシー・プレモンス演じる警官ダニエルの妻リズ役を演じ、第1章の物語とは全く違った印象を与えている。海難事故で失踪した後、奇跡的に生還を果たすリズだったが、まるで別人のような言動でダニエルを困惑させる。次第に疑心暗鬼に陥っていく夫を献身的に支える妻としての思いやりに溢れる表情を見せる一方、時折感じさせる、別人としての不穏な雰囲気を同時に表現するという、ずば抜けた演技を披露。見る者を強烈なランティモスワールドへと誘っていく。
第3章「卓越した宗教指導者になるべく運命付けられた特別な人物を懸命に探す女」で演じたエミリーは、ジェシー・プレモンス演じるアンドリューと共に、ある一人の女性を人生をかけて探すという使命を負っている。歩き方、仕草、喋り方、そのどれもが第1章、第2章とは全く異なっており、同じ人間が演技一つでこうも違う印象を与えることができるのかと驚かざるをえない。
3つの独立した物語で、同じキャストで別々のキャラクターを演じるという画期的な演出により、観客はまったく接点のないはずの3つの物語がいつしかリンクしていくような不思議な感覚に襲われる。じっくり観ていると、思わぬ描写に共通点が浮き彫りになり、ランティモス監督の“仕掛け”によって、思いもよらぬ映画的興奮を味わうことになる。
3つの物語で別々のキャラクターを演じつつ、さりげない共通点を加えるという高難度の挑戦を課されたストーンは、「私が見つけた共通点は、愛されたい、受け入れられたい、支配されたいという気持ちと同時に自由でありたい、自分で決めたいという気持ちとのバランスであり、そしてそのために愛を失うことになります」と語っている。
ランティモス監督は、「私たちは今の経験を積み重ねていき、何かを作るたびにさらに上を目指すことができるのです。ただシンプルに、一緒に仕事をするのが好きなのです」と、強い信頼を寄せるストーンとの仕事が好きだと明言。映画界最高峰のタッグは勢いを加速させ、新たなる挑戦へと突き進んでいる。
『憐れみの3章』は9月27日より全国公開。
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