女優の高畑淳子が1月21日、スペースFS汐留で実施された映画『山中静夫氏の尊厳死』完成披露上映会に中村梅雀、津田寛治、田中美里、小澤雄太、江澤良太、大方斐紗子、村橋明郎監督とともに登壇。近年、息子の裕太にまつわる騒動などで奔走してきた高畑は、自身の人生を振り返って「苦労したよ〜!(語りだしたら)オールナイトになっちゃうよ!」と意味深に発言した。
中村と津田がW主演をつとめる本作は、芥川賞作家で現役医師の南木佳士による同名小説を原作とするヒューマンドラマ。信州を舞台に、肺がんを告白した山中静夫(中村)や医師の今井(津田)が人生の生き方を追求する様を描き出す。
中村は、初めて台本を読んだときに「『これは役者としてやらなくちゃいけない!』と思った」と言い、「本当は肺腺がんというのは、発見されたときには余命3ヵ月とかそんなもの。(体つきが)健康体のまま亡くっていくそうなんです。だから痩せる必要がない。監督も『死んでいく人間が、死に向かってだんだんポジティブになっていく。そういう風に描きたい』ということをおっしゃっていて『痩せる必要はありません』と言われた。けれども『こいつ、絶対死なねぇよな』と見ている方が思われるだろうなと思って、(体重を)6キロ落としました」と告白。
役作りにあたって「(撮影場所の)佐久市のお隣の小諸市にある、僕が大好きな常宿で『長期泊まらせて!』と言って、1日中そこで死を考えた」と述懐。また「ちょうど母が危篤中だったので、いつ呼び出されるかもわからなかった。父が死ぬときは、最終的に肺炎を患っていたので、あの息づかいを思い出そうと。(役の)息づかいはそれを使わせてもらった。で、母の死と自分の死など色々考え、どういう風に死んでいきたいか考えながら、毎日宿でジーッと温泉につかっていました」とほほ笑んだ。
本作にちなんで、人生最後のときをどう迎えたいか問われて高畑は「そのことは小っちゃい頃から考えていた。東京タワーを初めて見たときに『人間はいつか死ぬんだ』と思って大泣きした。ちょっと変わった子だったんでしょうね」と回想。「(自分は)いつか死ぬんだと常々考えている。用心深い。ただ、そう遠くはないことなので、やっておかなければならないかなということが1つあります。執筆活動に入ろうかなと。書き残しておきたいことがあります。ただ今は色々…仕事だなんだと忙しくしているので、できるかどうかわからない。生きているのが精一杯」と心境を吐露。「とりあえず頑丈な金庫を1つ買っておこうかなと。せっかく稼いだものはちゃんと隠しておきたい。後のために」と話した。
同じ質問に対して中村は「娘がまだ4つ。死んでいる場合じゃない(笑)。80歳になったら、やっと娘が20歳。それでも死ぬことになったら、とにかく全ての時間を娘と妻との3人の時間にして、行きたいところ全部行って、飲みたいもの・食べたいものを食べまくる」と豪語。歌舞伎役者としてだけではなく、ベーシストとしても活躍する64歳は「大切な楽器たちの行く末を全部決めてホッとしたい。特に1本は世界的な宝物なので、それはちゃんと行き場所を決めといてあげないと」と話していた。
『山中静夫氏の尊厳死』は2月14日より公開となる。
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