受賞効果をビジネスにつなげる
宣伝部の腕の見せ所!
2月10日(現地時間9日)に迫ったアカデミー賞授賞式。既に発表されている映画関係者が選ぶ映画賞を見ると、『1917 命をかけた伝令』がリードする賞レースとなっている。
・アカデミー賞有力作品の評価ポイントはここ! ブラピ初受賞の可能性にも注目集まる
外国人記者約100人が選ぶゴ−ルデングローブ賞のドラマ部門の作品賞と監督賞は『1917』、全米監督組合賞は『1917』、全米製作者組合賞は『1917』が受賞している。『パササイト 半地下の家族』は全米俳優組合賞のアンサンブル賞(作品賞に該当)を外国映画として初めて受賞した。一方俳優部門は主演男優賞が『ジョーカー』のホアキン・フェニックス、主演女優賞が『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガー、助演男優賞が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピット、助演女優賞が『マリッジ・ストーリー』のローラ・ダーンが受賞する可能性が高い。ゴールデングローブ賞と全米俳優組合賞でこの4人が受賞しているからだ。
では、アカデミー賞を受賞した場合、日本での興行効果が大きいのはどの作品か。『ワンス〜』は既に劇場公開が終了、『マリッジ・ストーリー』はNetflixでの配信なので興行効果はなし。『ジョーカー』は2月7日からIMAXとドルビーシネマで最多ノミネート記念の再上映があるが、興行効果は少ないだろう。興行効果が大きそうなのが『1917』と『パラサイト』だ。
『1917』は2月14日からの公開。受賞すればわずか4日後の公開で、話題性が持続している中での公開となる。作品賞と監督賞のいずれか、あるいは両方取れば受賞効果は最も大きくなりそう。参考になるのが昨年の作品賞受賞作『グリーンブック』だ。授賞式のわずか4日後の公開で、興収21.5億円の大ヒットとなった。
効果が未知数なのが『ジュディ』。受賞すれば主演女優賞なので作品賞ほどのインパクトはない。ただし、配給元ギャガにとっては成功例がある。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(12年)だ。メリル・ストリープが30年ぶりに主演女優賞に輝いた話題性もあり、10億円近い興収をあげた。3月6日からの公開で約1ヵ月の間が空く。ギャガがどう宣伝展開するかに注目したい。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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