俳優の佐藤浩市が2月4日、よみうりホールにて行われた映画『Fukushima 50』の特別試写会に登壇し、撮影の舞台裏などについて語った。
マグニチュード9.0、最大震度7という、日本の観測史上最大の地震となった東日本大震災。その時想像を超える被害をもたらした原発事故の現場、福島第一原子力発電所(通称イチエフ)に残った地元福島出身の作業員たちは、世界のメディアから”Fukushima 50″(フクシマフィフティ)と呼ばれた。世界中が注目した現場では本当は何が起きていたのか、何が真実なのか、浮き彫りになる人間の強さと弱さ。東日本壊滅の危機が迫る中、家族を、そしてふるさとを守るため死を覚悟して発電所内に残った人々の知られざる”真実”を明らかにする物語だ。
主役となる福島第一原発1・2号機当直長・伊崎利夫役を演じた佐藤は「撮影自体は時系列通りの順撮りで進んでいき、日々みんなの顔がやつれていくのが見えてきてなんとも言えなかったですね。中操(中央制御室)での撮影2日目から電源が落ちるシーンの撮影で、予備電力もなく暗闇の中で防護服を着てやるんです。防護服に目張りをして少しの休憩では脱ぐことが出来ないんですよ。それでも何日か撮影が進んでいくと防護服を着ていても誰が誰だか分かるんですよ。これは不思議でしたね」と撮影現場でのチームの雰囲気について語った。
また、本作の撮影にあたって難しかった点について聞かれると「一つだけ言えることは皆さんも僕らも、当時最悪の事態を免れることが出来たという結果を知っているわけですよ。しかし9年前、あの時、あの場所にいた人たちはこの先なにがどうなっていくのか分からないんですよね。その恐怖と責任などあまりに大きなものを背負ってそこにいたんですよね。その気持ちを私たちがどう表現することができるのかと思いました」と答え、これから映画を観る人たちにも当時の人々の気持ちが伝わって欲しいと加えた。
佐藤は最後に「この映画の映像は辛いものが多々あります。リアルタイムで経験された方、ニュース映像でしか見ていない方、10、20年後に忘れられない為にこのような辛い映像がたくさんこの映画には入っています。負の遺産を遺産に変えることができるのは、我々人間だけです。よろしくお願いします」と映画への強い想いを語った。この日のイベントには他に、共演の吉岡秀隆、若松節朗監督も共に登壇した。
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