原作と映像化された作品を、重箱の隅をつつくように細か〜く比較する【元ネタ比較】。今回は『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』を紹介します。
【元ネタ比較】『囀る鳥は羽ばたかない〜』1
劇場アニメ化されることが驚きだった神BL
ついに『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』が公開される! この劇場アニメ化が発表された時は筆者自身驚いたし、周囲でもその話題で持ちきりだった。
原作はヨネダコウによるBLコミック誌「ihr HertZ」に連載中の人気BLコミック「囀る鳥は羽ばたかない」だ。ヨネダコウは映画化された『どうしても触れたくない』などを手がけたBL作家。作品数は多い方ではないが、裏社会ものもあれば、サラリーマンや高校生らの物語もあって多彩でありながら、どの作品も甲乙つけがたいほど傑作。いわば神作家と言われる存在だ。「囀る〜」も常にBLコミックのランキングに入るほどの神作品だ。
その傑作をフジテレビが立ち上げたBLに特化したアニメレーベル「BLUE LYNX」が手がける第1作として劇場アニメ化されたのだ。
「囀る〜」は裏社会が舞台で、これらはジャンルが確立するぐらいBLではポピュラーなものではある。しかし、神作家であるヨネダコウの手にかかれば一筋縄ではいかない。
派手なアクションのあるバイオレンスに頼ったものでもなければ、組長の家に生まれた跡取り息子の成長物語でもない。物語の主人公は小さな事務所を任された真誠会若頭の矢代(ちなみに苗字のみで名前は現時点で登場しない。主人公なのに名前が不明って!)で、彼のキャラクターからして一筋縄ではいかない。
言葉ではうまく説明しきれないが、カリスマ性を持っていて複雑な魅力を持つキャラクターだ。そんな彼のもとへやってきたのが、彼とは真逆をいくキャラクターで純朴で無骨で朴念仁の百目鬼(どうめき)という男。事務所で矢代の部下として愚直に働きながら盲信的にどうしようもなく矢代に惹かれていく。そして、彼は過去のトラウマで性的に不能なEDなのだ。(2に続く)
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